平成24年版高齢社会白書によれば,我が国は世界のどの国も経験したことのない高齢社会を迎え,23年10月1日現在の高齢者(65歳以上の者)の人口は,過去最高の2,975万人(前年 2,925万人)となり,総人口に占める高齢者の比率は23.3%(前年23.0%)にまで上昇し,さらに,高齢者人口は,いわゆる「団塊の世代」(昭和22年〜24年に生まれた者)全員が高齢者となる平成27年には,3,395万人となり,その後も増加を続けると予想されている。
4-4-1-1図は,一般刑法犯について,年齢層別の検挙人員の推移(最近20年間)を見たものである。高齢者の検挙人員は,他の年齢層と異なり,増加傾向が著しく,平成23年は,4年の検挙人員の約6.3倍となっている。
4-4-1-2図は,年齢層別に一般刑法犯検挙人員の人口比の推移(最近20年間)を見たものである。高齢者の人口比は,他の年齢層より相対的に低い。しかしながら,平成4年との比較で,23年の人口比の伸び率を見ると,20〜29歳で約1.1倍,30〜39歳で約1.4倍,40〜49歳で約1.3倍,50〜64歳で約1.7倍に上昇している一方,高齢者では約3.4倍にまで上昇しており,高齢犯罪者の人口比の上昇が著しい。このように,最近の高齢犯罪者の増加の勢いは,高齢者人口の増加をはるかに上回っている。
4-4-1-3図は,平成23年における高齢者の一般刑法犯検挙人員の罪名別構成比を男女別に見たものである。一般刑法犯全体と比べて,高齢者では窃盗の割合が高いが,特に女子では,91.9%が窃盗であり,しかも万引きによる者の割合が80.8%と際立って高い。
4-4-1-4図は,刑法犯の幾つかの罪名について,高齢者の検挙人員の推移(最近20年間)を見たものである。高齢者の一般刑法犯検挙人員の大半を占める窃盗において,この20年間で検挙人員の増加が認められるが,さらに,重大事犯である殺人及び強盗,粗暴犯である傷害及び暴行においても検挙人員が増加している。