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6 心のブレーキについての認識

7-4-3-9図は,「あなたが法律で禁じられているような「悪い」ことをしようと思ったとき,あなたを思いとどまらせる心のブレーキになるものは何ですか。」という質問に対する回答状況を非行少年・若年犯罪者の別,保護処分歴別に見たものである。非行少年では,「父母のこと」(45.1%),「兄弟(妻子)を含めた家族全体のこと」(23.2%),「警察につかまること」(11.2%)の順,若年犯罪者では,「兄弟(妻子)を含めた家族全体のこと」(43.2%),「父母のこと」(29.3%),「警察につかまること」(9.0%)の順となっており,おおむね7割の者が,家族が心理的な抑止・規制になると認識している。これを保護処分歴別に見ると,少年院送致歴のある者では,「父母のこと」を選択した者の比率(非行少年28.2%,若年犯罪者23.2%)は,それ以外の者に比べて低く,「兄弟(妻子)を含めた家族全体のこと」が逆に比較的高くなっている。このことから,少年院送致歴のある者にとって,親よりも,兄弟,妻子等を含めた家族全体を,より心理的な抑止と捉えていることがうかがえる。また,選択者は少ないが,「特に心のブレーキとなるものがなかった」と回答した者を見ると,非行少年の場合は,保護処分歴の区分別で大きな違いはないが,若年犯罪者では少年院送致歴のある者のうち8.0%の者が,心理的抑止となるものがない旨回答しており,これらの者では家族,地域社会等との絆が薄れ,孤立化している可能性が推察される。


7-4-3-9図 心のブレーキについての認識(非行少年・若年犯罪者別・保護処分歴別)
7-4-3-9図 心のブレーキについての認識(非行少年・若年犯罪者別・保護処分歴別)