裁判所の入院決定を受けた者は,指定入院医療機関(厚生労働大臣が指定する。)に入院して,この制度に基づく専門的な医療を受けることになる。指定入院医療機関では,対象者の症状の段階に応じ,専門的で手厚い医療を提供している。
保護観察所は,指定入院医療機関に入院した対象者の円滑な社会復帰を図るため,入院当初から,退院に向けた生活環境の調整を行っている。調整の過程では,保護観察所の社会復帰調整官が,対象者が入院している指定入院医療機関を訪問し,対象者から退院後の生活に関する希望を聴取し,指定入院医療機関のスタッフと調整方針に関する協議を行うなどしている。これらの結果に基づき,必要に応じて,対象者と家族等との関係を調整するほか,退院予定地の指定通院医療機関や都道府県,市町村等の精神保健福祉関係機関と連携し,対象者が退院後に必要となる精神保健福祉サービス等の援助を円滑に受けられるよう調整を行っている。
対象者に対する生活環境調整事件の処理状況の推移は,4-5-3-4図のとおりであり,平成22年の開始(移送によるものを除く。)件数は246件,同年末現在の係属件数は529件であった。