心神喪失者等医療観察制度の対象となるのは,<1>不起訴処分において,対象行為(殺人,放火,強盗,強姦,強制わいせつ(これらの未遂を含む。),傷害)を行ったこと及び心神喪失者又は心神耗弱者であることが認められた者,<2>対象行為について,心神喪失を理由に無罪の確定裁判を受けた者,又は心神耗弱を理由に刑を減軽する旨の確定裁判(懲役又は禁錮の実刑判決であって,執行すべき刑期があるものを除く。)を受けた者である。これらの対象者については,原則として,検察官の申立てにより審判が行われる。その審判は,地方裁判所において裁判官と精神保健審判員(精神科医)の合議体により行われ,医療の要否・内容が決定される。
検察官申立人員及び審判の終局処理人員の推移(最近5年間)は,4-5-3-2図のとおりである。平成22年には,検察官申立人員は358人であり,審判で入院又は通院の決定がなされた者は303人であった。
平成22年における検察官申立人員及び審判の終局処理人員を対象行為別に見ると,4-5-3-3表のとおりである。
前記の審判に当たり,裁判所は,保護観察所の長に対し,対象者の生活環境の調査を求めることができる。保護観察所は,対象者の住居や家族の状況,利用可能な精神保健福祉サービス等の社会資源の現況等,対象者の生活環境について調査を行い,その結果を裁判所に報告している。平成22年における生活環境の調査事件の開始件数は,372件であった(保護統計年報による。)。