未決拘禁者は,いわゆる悪風感染の防止やプライバシーの保護のために,受刑者等と分離して収容される。
その処遇は,逃走及び罪証隠滅を防止するとともに,被疑者又は被告人としての防御権を尊重しつつ,適正な収容を確保するよう配慮しながら行っている。昼夜,居室内で処遇を行うのが原則的な形態であり,居室は,できる限り単独室としている。
未決拘禁者は,受刑者と異なり,衣類・寝具は自弁のものを使用するのが一般的であり,飲食物・日用品も,規律・秩序の維持その他管理運営上の支障を及ぼすおそれがない限り,広範囲に自弁のものの摂取・使用が認められている。書籍(新聞紙及び雑誌を含む。)の閲読は,罪証隠滅の結果を生ずるおそれがなく,かつ,刑事施設の規律・秩序を害するおそれがない限り許される。面会及び信書の発受には,刑事訴訟法上の制限があるほか,罪証隠滅の結果を生ずるおそれがある場合又は刑事施設の規律・秩序の維持若しくは管理運営上やむを得ない場合にも,制限を受けることがある。また,面会は,弁護人等との場合を除いて,原則として職員が立ち会い,信書の内容については検査が行われる。
なお,被勾留者等は,刑事施設に収容することに代えて留置施設に留置することができるとされており(代替収容),被勾留者は,起訴前は,留置施設に収容される場合が多い。平成22年度に留置施設に代替収容された者の一日平均収容人員は,1万274人であった(法務省矯正局の資料による。)。
死刑の判決が確定した者は,その執行に至るまで,他の被収容者と分離して刑事施設に拘置される。死刑確定者の処遇においては,心情の安定が得られるよう留意している。そのために,必要に応じ,民間の篤志家の協力を求め,その心情の安定に資すると認められる助言,講話等を実施している。平成22年末現在,死刑確定者の収容人員は,111人である(矯正統計年報による。)。