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2 作業
(1)概況

懲役受刑者には,法律上,作業が義務付けられている(労役場留置者も同様である。)。このほか,禁錮受刑者及び拘留受刑者も,希望するときには作業を行う。平成22年度における作業の一日平均就業人員は,6万2,494人であった。また,禁錮受刑者は,23年3月31日現在で,85.8%が作業に従事していた(法務省矯正局の資料による。)。

(2)作業の内容等

受刑者は,作業として職業訓練を受けることがあるほか,一般作業として,生産作業(木工,印刷,洋裁,金属等),自営作業(炊事,清掃,介助,設備の修繕等の刑事施設の運営に必要な作業)に従事する。その職種は,受刑者の希望も参酌し,適性に応じて指定される。

作業は,刑事施設内で行うものが大部分であるが,刑事施設が管理する構外作業場で行うものもあり,さらに,民間企業の協力を得て,受刑者を職員の同行なしに,その企業の事業所に通勤させて同所での業務に従事させる(職業訓練を受けさせることを含む。)こともある(外部通勤作業)。

(3)就業条件

作業を行う時間は,改善指導等の矯正指導(次項参照)を行う時間と合算して,一日,原則として8時間を超えない範囲内とされている。土曜日,日曜日,祝日,年末年始等には,炊事の作業等その性質上連日行うことが必要な作業を除き,作業は,実施しない。

なお,労働安全衛生法等に準じて,作業の安全及び衛生の確保を図っている。

(4)作業報奨金等

作業の収入は,全て国庫に帰属する。平成22年度における作業による歳入額は,約47億円であった(法務省矯正局の資料による。)。

他方,受刑者には,従事した作業に応じ,作業報奨金が,原則として釈放時に支給される。作業報奨金に充てられる金額(予算額)は,平成22年度には,一人1か月当たり,平均で4,533円であった(法務省矯正局の資料による。)。また,22年の出所受刑者が出所時に支給された作業報奨金の金額を見ると,5万円を超える者が23.6%,1万円以下の者が22.8%であった(矯正統計年報による。)。

(5)職業訓練

刑事施設では,受刑者に職業に関する免許や資格を取得させ,又は職業上有用な知識や技能を習得させるために,職業訓練を実施している。職業訓練には,総合訓練,集合訓練及び自庁訓練の三つの類型がある。総合訓練は,全国の刑事施設から適格者を選定し,8の総合訓練施設(山形,福井,山口及び松山の各刑務所並びに函館,川越,奈良及び佐賀の各少年刑務所)に集めて実施しているが,集合訓練は主に各矯正管区単位で,自庁訓練は各刑事施設ごとに,それぞれ適格者を選定して実施している。

刑事施設では,雇用情勢に応じ職業訓練種目の拡大にも努めており,平成22年度には,新設された建設く体工事科を含め,溶接科,自動車整備科,情報処理技術科,ホームヘルパー科等の合計87種目の職業訓練が実施され,1万1,885人がこれを修了し,溶接技能者,電気工事士,自動車整備士等の資格又は免許を取得した者は,総数で5,919人であった(法務省矯正局の資料による。)。

(6)就労支援

平成18年度から,法務省は,受刑者等の出所時の就労の確保に向けて,刑事施設及び少年院に就労支援スタッフを配置するとともに,厚生労働省と連携し,刑務所出所者等総合的就労支援対策を実施している。この施策は,刑事施設,少年院,保護観察所及び公共職業安定所が連携する仕組みを構築した上で,支援対象者の希望,適性等に応じ,計画的に就労支援を行うものであるが,その一環として,刑事施設では,支援対象者に対し,公共職業安定所の職員による職業相談,職業紹介,職業講話等を実施している(保護観察所における就労支援は,第5章第2節2項(5)第7編第5章1項(3)エ参照)。