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平成22年版 犯罪白書 第7編/第3章/第1節

第3章 重大事犯者に対する処遇

第1節 受刑者・保護観察対象者の問題性に応じた処遇

犯罪者の改善更生や社会復帰を図るためには,犯罪者が抱える資質や環境上の問題性を改善することが必要であり,近年,刑事収容施設法及び更生保護法の下,矯正や保護観察の処遇において,犯罪者の問題性に応じた処遇の充実が図られている(第2編の第4章第3節及び第5章第2節2項参照)。

重大事犯者は,その抱える問題は多種多様であるが,一般的に,殺人や傷害致死等の事犯者は,他人の生命や身体を尊重する意識が希薄である者が多く,また,強姦事犯者は,性的な被害を軽く考えるなど考え方(認知)にゆがみがある者が多いといったように,罪種ごとに類型的に見られる問題性があり,重大事犯者の処遇は,そうした問題性の改善に特に配慮して行われる必要がある。また,重大事犯者は,受刑によって,社会から隔離される期間が長くなる者も多いので,この点で,処遇上の配慮も必要となることがある。

この節では,このような観点から,現在行われている重大事犯者に対する処遇の一端を紹介する。

なお,重大事犯者に対する処遇を分かりやすく紹介するという意図で,コラム「ある殺人犯罪者が立ち直るまで」に,殺人により懲役13年に処せられた架空の者を想定し,処遇の流れを記述した。