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平成22年版 犯罪白書 第7編/第2章/第2節/1

第2節 処遇

1 刑事施設における処遇

(1)受刑在所期間

調査対象者の受刑在所期間(刑の起算日から釈放日までの期間)は,平均で,殺人6.1年,傷害致死3.2年,強盗4.6年,強姦3.1年,放火3.7年であり,8年を超える者の比率は,殺人25.6%,傷害致死1.3%,強盗8.0%,強姦2.5%,放火5.2%であった。

(2)職業訓練

職業訓練を受けた者の比率は,平成12年の出所受刑者全体では5.5%であったが(矯正統計年報による。),調査対象者では,殺人10.5%,傷害致死18.4%,強盗22.6%,強姦27.9%,放火17.2%であった。

(3)処遇類型別指導

受刑者が有する問題性を除去,改善するために,現在は,刑事収容施設法の下,改善指導が行われているが,監獄法の下では,生活指導の一環として,犯罪の種類や要因等に着目し,幾つかの類型に属する受刑者には「処遇類型別指導」が実施されていた。調査対象者について,処遇類型別指導の実施状況を見ると,記録で確認できたものに限られるが,暴力団構成員等であった者70人のうち6人に暴力団離脱指導が,薬物使用の問題があった者64人のうち9人に覚せい剤乱用防止教育が,飲酒の問題があった者73人のうち9人に酒害教育が実施されていた。

(4)懲罰

7‐2‐2‐1図は,調査対象者について,本件の罪名ごとに懲罰回数別構成比を見たものである。いずれの罪名でも,懲罰を受けなかった者の構成比は37.5〜52.2%と,平成12年の出所受刑者全体の59.2%と比べて低く,3回以上懲罰を受けた者の構成比は20.9〜28.9%と,同年の出所受刑者全体の12.6%と比べて高かった(矯正統計年報による。)。本件の罪名別では,強盗で,懲罰を受けた者の構成比が最も高かったが,受刑在所期間の長短による影響を除いて見るために,受刑在所期間が2年を超える者に限定し,出所前1年間に懲罰を受けた者の比率を見ると,殺人17.5%,傷害致死28.8%,強盗24.8%,強姦25.6%,放火17.1%であり,傷害致死で高かった。

7‐2‐2‐1図  懲罰回数別構成比(罪名別)

(5)出所

重大事犯では,受刑者全体と比べ,仮釈放率は全般的に高い(7‐1‐4‐1図参照)が,調査対象者でも,仮釈放率は,殺人71.4%,傷害致死67.1%,強盗77.7%,強姦72.1%,放火69.4%(平成12年の出所受刑者全体では55.9%。矯正統計年報による。)であった。

調査対象者のうち,満期釈放となった者について,親族のもとに帰住した者の比率を見ると,殺人61.8%,傷害致死52.0%,強盗39.5%,強姦64.7%,放火41.5%であった。