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 平成21年版 犯罪白書 第7編/第2章/第4節/1 

第4節 保護観察

1 保護観察対象者の状況

(1)保護観察開始人員中の有前科者

 7-2-4-1図は,保護観察(仮釈放及び保護観察付執行猶予による保護観察に限る。以下,この節において同じ。)が開始された有前科者(罰金以上の刑に係る前科を有する者をいう。以下,この項において同じ。)の人員及び有前科者率(保護観察開始人員に占める有前科者人員の比率をいう。以下,この項において同じ。)の推移(最近10年間)を見たものである。
 有前科者の人員は,仮釈放者では,平成16年まで増加傾向にあったが,17年から微減傾向にあり,保護観察付執行猶予者では,13年から減少傾向にある。有前科者率は,ほぼ横ばいであるが,女子の保護観察付執行猶予者では増加傾向にある。

7-2-4-1図 保護観察開始人員(刑事処分歴別)・有前科者率の推移(総数・女子別)

(2)就労状況

 7-2-4-2図は,保護観察対象者(平成11年〜20年の累計)について,刑事処分歴別に保護観察の開始時・終了時の就労状況を見たものである。
 保護観察の開始時と終了時とでは,その対象者が必ずしも同一ではないため,厳密な意味での比較にはならないが,基本的に,終了時においては,開始時よりも有職率が上昇しているといえる。しかしながら,保護観察付執行猶予者のうち「実刑前科あり」の者については,その上昇率が相対的に低い。

7-2-4-2図 保護観察対象者の開始時・終了時の就労状況(刑事処分歴別)

(3)居住状況

 7-2-4-3図は,保護観察対象者(平成11年〜20年の累計)について,刑事処分歴別に開始時の居住状況別構成比を見たものである。
 仮釈放者は,更生保護施設に居住する者の構成比が高く,うち「実刑前科あり」の者では,3分の1を超えている。また,保護観察付執行猶予者においても,更生保護施設は居住先として相当程度活用されている。
 なお,保護観察付執行猶予者については,単身の構成比が高く,うち「実刑前科あり」の者では約3割を占めている。

7-2-4-3図 保護観察対象者の開始時の居住状況別構成比(刑事処分歴別)