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 平成21年版 犯罪白書 第3編/第5章/第3節/4 

4 地域社会における処遇

 裁判所の通院決定を受けた者又は退院許可決定を受けた者は,原則として3年間,指定通院医療機関(厚生労働大臣が指定する。)による入院によらない医療及び保護観察所による精神保健観察を受ける。精神保健観察は,継続的な医療を確保することを目的として,対象者との面接や関係機関からの報告等を通じて通院状況や生活状況を見守り,必要な指導等を行うものである。また,対象者が地域社会で安定した生活を営んでいくためには,障害者自立支援法(平成17年法律第123号)等に基づく都道府県・市町村による援助等を適切に利用することが重要であることから,保護観察所は,指定通院医療機関及び都道府県・市町村と協議して処遇の実施計画を作成し,これに盛り込まれた医療,精神保健観察及び援助が有効に実施されるように関係機関相互の緊密な連携の確保に努めている。
 平成20年における保護観察所の精神保健観察事件の受理(移送による受理を除く。)件数は175件であり,このうち退院許可決定によるものは114件であった(保護統計年報による。)。
 期間満了を除く処遇(医療)の終了や指定入院医療機関への(再)入院についても,裁判所が審判により決定する。平成20年における医療終了決定は38件,再入院決定は2件であった(司法統計年報による。)。
 なお,心神喪失者等医療観察法に基づく保護観察所の事務には,社会復帰調整官(精神保健福祉士その他の精神障害者の保健及び福祉に関する専門的知識を有する者として政令で定めるものに限る。)が従事している。