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 平成21年版 犯罪白書 第2編/第5章/第2節/3 

3 保護観察対象者に対する措置

(1)良好措置

 良好措置とは,保護観察対象者が健全な生活態度を保持し,善良な社会の一員として自立し,改善更生することができると認められる場合に執られる措置であり,刑の短期を経過した不定期刑の仮釈放者について刑の執行を受け終わったものとする不定期刑終了及び保護観察付執行猶予者について保護観察を仮に解除する仮解除がある。
 平成20年に良好措置が執られた保護観察対象者は,不定期刑終了はなく,仮解除は418人であった(保護統計年報による。)。

(2)不良措置

 不良措置とは,保護観察対象者に遵守事項違反,再犯等があった場合に執られる措置である。仮釈放者を刑事施設に再収容する仮釈放の取消し,保護観察付執行猶予者の刑の執行猶予の言渡しの取消しがある。
 保護観察対象者が,正当な理由がないのに一般遵守事項によって居住を義務付けられた住居に居住しないときや,遵守事項を遵守しなかったことを疑うに足りる十分な理由があり,かつ,正当な理由がないのに,保護観察所の長等の出頭の命令に応ぜず,又は応じないおそれがあるときには,裁判官の発する引致状により引致し,さらに,不良措置の審理を開始するときは,一定の期間,所定の施設に留置する措置が執られる。保護観察処分少年及び少年院仮退院者を含め,平成20年中に引致された者は338人であり,そのうち,留置された者は313人であった(保護統計年報による。)。
 なお,所在不明になった仮釈放者の刑期の進行を止める保護観察の停止の措置もあり,平成20年にその措置が執られた保護観察対象者は273人であった(保護統計年報による。)。また,平成18年5月から,所在不明となった仮釈放者及び保護観察付執行猶予者の所在を迅速に発見するために,保護観察所の長が警察からその所在に関する情報の提供を受ける体制が取られている(第7編第4章第1節4項(2)参照)。