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 平成20年版 犯罪白書 第7編/第6章/第1節/1 

第6章 おわりに

第1節 高齢犯罪者の増加の原因及びその背景

1 特別調査等から見た最近の高齢犯罪者の特徴

 これまで見たとおり,高齢犯罪者は各手続段階で高齢者人口の伸びを上回る勢いで増加している(7-1-2図)。また,殺人,強盗等の重大事犯,傷害,暴行,脅迫等の粗暴犯,窃盗,詐欺等の財産犯,さらに,強制わいせつ等の性犯罪においても,検挙人員・起訴人員,その高齢者比のいずれもが増加・上昇している(第2章第1節第2節参照)。しかも,一般刑法犯に限らず,高齢犯罪者による特別法犯(廃棄物処理法違反,銃刀法違反等)も,有罪人員中に相当数認められることは,犯歴調査で見たとおりである。
 そして,第3章第2節で紹介した特別調査の結果から判明したように,東京地方検察庁及び東京区検察庁が平成19年に事件を受理した高齢犯罪者全体に係る属性に関する分析において,高齢犯罪者には,高齢に達する以前から犯罪を繰り返し,高齢の域に達して更に犯罪を行った者が相当数おり,実刑に処せられ受刑した経験を持つ者(「受刑歴あり群」)が,調査対象全体の3人に1人の割合でいるなど,犯罪性の進んだ者が少なくないことなどがうかがわれた。一方で,高齢になって初めて犯罪を行った者(「高齢初発群」)が調査対象全体の4人に1人の割合でいた。
 高齢犯罪者がこのように増加している理由は何であろうか。