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 平成20年版 犯罪白書 第7編/第3章/第1節/2 

2 調査対象者及び調査対象高齢犯罪者の概要

 まず,調査対象者に含まれる初犯者と再犯者の比率を見ると,約7対3であることが分かる(7-3-1-1図)。この比率は,100万人犯歴についての分析結果とほぼ同じである(初犯者71.1%,再犯者28.9%,平成19年版犯罪白書222頁)。また,再犯者について,総犯歴数別に2犯から10犯以上の多数回再犯者までの構成比について見ても,調査対象者と100万人犯歴との間で大きな相違はなかった。すなわち,調査対象者のような一部の年代の者を50年以上追跡調査した犯歴と年齢を特定しない100万人の者の約60年分の犯歴(100万人犯歴)とを比較すると,初犯者と再犯者の比率は,いずれの場合も同様である。

7-3-1-1図 調査対象者の総犯歴数別人員構成比

 7-3-1-1図は,65歳以上における犯歴のある者だけでなく,若年時,壮年時に犯罪を行って犯歴を登録され,調査時に高齢者となっていた者を含んでいる(犯罪をした当時の年齢を問わない。)。そこで,7-3-1-1図で示した調査対象者の総犯歴数の中に,調査対象高齢犯罪者がどの程度含まれているかを見たものが7-3-1-2図である。

7-3-1-2図 調査対象者中の総犯歴数別65歳以上の犯歴がある者の比率

 これを見ると,総犯歴数が増えるにつれて,調査対象高齢犯罪者の比率は高くなっており,10犯以上の者の場合,16.7%の者が,高齢期に入ってからも犯歴を重ねていることが分かる。
 このような調査対象高齢犯罪者は,どのような犯罪をしているかについて,件数についての罪名別構成比を見ると,多い順に,窃盗,傷害・暴行,廃棄物処理法違反,詐欺となっている(7-3-1-3図)。

7-3-1-3図 調査対象高齢犯罪者の罪名別65歳以上の犯歴件数構成比