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1 裁判員制度の概要 裁判員裁判の対象となる事件は,原則として,死刑又は無期の懲役・禁錮に当たる罪に係る事件(1号事件)及び法定合議事件(死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役・禁錮に当たる罪(強盗等を除く。))であって,故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係る事件(2号事件)であり,いずれも国民の関心が高いと考えられる重大事犯である。ただし,裁判員に過度の負担を負わせることがないよう,被告人の言動,被告人がその構成員である団体の主張若しくは当該団体の他の構成員の言動又は現に裁判員等に対する加害若しくはその告知が行われたことその他の事情により,裁判員等やその親族等に危害が加えられるなどのおそれがあって,そのために裁判員等が畏怖し,裁判員の職務の遂行ができないなどの事情が認められる場合には,対象事件から除外される。対象事件には当たらない事件であっても,対象事件と併合された場合は,対象事件となる。 裁判員裁判対象事件が起訴された場合には,第一回公判期日前に,必ず公判前整理手続に付され,裁判所は,争点を整理した上,証拠の採否や取調べ順序を決定し,具体的な審理計画を立てることで,集中的・計画的な審理を実現させる。また,必要に応じ,公判開始前の鑑定を行うこともできる。 裁判員の選任までの流れは,6-2-1図のとおりである。 まず,地方裁判所ごとに,選挙人名簿に登録された者の中から,毎年くじで選定された裁判員候補者名簿が作成される。そして,事件ごとに,裁判員候補者名簿の中から,くじで裁判員候補者を選定し,選任手続のため裁判所に呼び出す。裁判所は,一定の欠格事由,就職禁止事由,事件に関連する不適格事由等に該当する者,一定の辞退事由に該当し裁判所に辞退を認められた者及び検察官又は被告人から理由を示さない不選任請求をされた者を除外した後,裁判員を選任する。裁判員の選任手続は,非公開で行われる。 審判の期間その他の事情を考慮して必要な場合には,補充裁判員が置かれる。補充裁判員は,裁判員の員数に不足が生じた場合に,不足した裁判員に代わって裁判員に選任される。 裁判員,補充裁判員及び裁判員候補者として裁判所に出頭した者に対しては,一定の日当や交通費等が支払われる。 裁判員裁判では,有罪・無罪の判決等に係る事実の認定,法令の適用及び刑の量定について,裁判官3人及び裁判員6人(争いのない事件で,一定の条件を満たす場合には,裁判官1人及び裁判員4人)の合議体において評議を行い,裁判官及び裁判員の双方の意見を含む合議体の員数の過半数の意見により評決する。 裁判員は,自ら関与する判断に必要な事項については,裁判長に告げて,被告人や証人等に対して質問をすることができる。法令の解釈,訴訟手続に関する判断等については,裁判官のみが行って,その結果を裁判員に示し,裁判員はそれに従わなければならない。 6-2-1図 裁判員選任手続の流れ |