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 平成20年版 犯罪白書 第5編/第2章/第1節/3 

3 告訴人通知・被害者等通知制度

 検察官は,告訴等のあった事件について,公訴を提起し,又はこれを提起しない処分(不起訴処分)をしたときは,速やかにその旨を告訴人等に通知しなければならず,また,不起訴処分をした場合において,告訴人等の請求があるときは,速やかにその理由を告げなければならない。
 検察官等は,被害者が死亡した事件又はこれに準ずる重大な事件や検察官等が被害者等の取調べ等を実施した事件において,被害者等が希望する場合には,事件の処理結果,公判期日及び裁判結果に関する事項について通知を行っている。また,被害者等が特に希望する場合には,公訴事実の要旨,不起訴理由の骨子,公判経過,自由刑(懲役,禁錮又は拘留の刑をいう。以下,本節において同じ。)の執行終了予定時期,仮釈放又は自由刑の執行終了による釈放及び釈放年月日等についても通知を行うことができる。平成19年においては,事件の処理結果について延べ3万4,298件,公判期日について延べ1万9,766件,裁判結果について延べ2万8,023件,受刑者の釈放について延べ2,478件の通知が行われた(法務省刑事局の資料による。)。
 平成19年12月1日からは,この制度が更に拡充され,有罪裁判確定後の加害者の処遇状況等に関する事項についても,被害者等から希望があった場合には,原則として通知を行うこととなった。通知内容及びその通知者は,懲役又は禁錮の刑の執行終了予定時期,受刑中の刑事施設における処遇状況に関する事項,仮釈放又は刑の執行終了による釈放に関する事項等及び刑の執行猶予の言渡しの取消しに関する事項等については検察官,仮釈放審理の開始・結果に関する事項については地方更生保護委員会,保護観察の開始・処遇状況・終了に関する事項については保護観察所の長である。
 なお,同制度とは別に,平成13年10月から,再被害防止のため,被害者等が特に通知を希望する場合において,通知を行うのが相当と認めるときは,検察官等が受刑者の釈放前に,釈放予定時期等について被害者等へ通知を行うことができる制度が実施されており,19年においては,被害者等782人に対して通知がされている(法務省刑事局の資料による。)。