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仮釈放は,懲役又は禁錮の受刑者について,刑法28条により,有期刑については刑期の3分の1,無期刑については10年の法定期間を経過した後,許すことができると定められている(少年法による特例については,第4編第2章第1節4(3)参照)。従来,「改悛の状」の判断に当たっては,[1]悔悟の情が認められること,[2]更生の意欲が認められること,[3]再犯のおそれがないと認められること,[4]社会の感情が仮釈放を是認すると認められること,の四つの事項を総合的に考慮し,保護観察に付することが本人の改善更生のために相当であると認められたときに,仮釈放が許されるものとされていたところ,更生保護法の施行に合わせて,この基準の明確化が図られ,[1]悔悟の情及び改善更生の意欲があるかどうか,[2]再び犯罪をするおそれがないかどうか,[3]保護観察に付することが改善更生のために相当であるかどうかを順に判断し,それらの基準を満たした者について,[4]社会の感情が仮釈放を許すことを是認するかどうかを最終的に確認して,仮釈放を許すかどうかが判断されることとなった。また,平成19年12月1日から,仮釈放審理において,被害者等から意見等を聴取する制度が施行されている(第5編第2章第1節参照)。 受刑者の帰住予定地を管轄する保護観察所では,刑事施設から受刑者の身上調査書の送付を受けた後,保護観察官又は保護司が引受人と面接するなどして,帰住予定地の状況を確かめ,改善更生に適した環境作りを働きかける環境調整(更生保護法の施行により「生活環境の調整」として充実が図られた。)を実施している。 環境調整の件数は,受刑者の増加に伴って近年増加していたが,平成19年は減少し,同年において新たに環境調整を実施した受刑者は,4万6,823人(前年比3.6%減)であった(保護統計年報による。)。 |