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1 処遇の概要 刑事収容施設法が施行され,受刑者処遇の充実強化が図られている。 刑事施設における受刑者処遇の流れは,2-4-2-1図のとおりである。 刑事収容施設法に基づき,受刑者処遇は,その者の資質及び環境に応じ,その自覚に訴え,改善更生の意欲の喚起及び社会生活に適応する能力の育成を図ることを旨とし,矯正処遇として,作業,改善指導及び教科指導の3種類を中心として実施することとなった。 2-4-2-1図 受刑者処遇の流れ 矯正処遇は,刑事施設の長が個々の受刑者の資質及び環境の調査の結果に基づいて矯正処遇の目標並びにその基本的な内容及び方法を定める処遇要領に基づき実施される。矯正処遇は,その効果的な実施を図るため,必要に応じ,受刑者を集団に編成して行うこととされており,そのための編成を受刑者の集団編成という。処遇要領の策定及び集団編成は,各刑事施設において,刑執行開始時並びに定期及び臨時に,医学,心理学,教育学,社会学その他の専門的知識及び技術を活用して行われる処遇調査に基づき実施される。 さらに,矯正管区ごとに特定の刑事施設が調査センターとして指定されている。調査センターでは,新たに刑が確定した受刑者で,[1]執行刑期が3月以上の16歳未満の少年,[2]初犯で,執行刑期1年以上の16歳以上20歳未満の男子(F指標の者(日本人と異なる処遇を必要とする外国人)を除く。),[3]初犯で,執行刑期1年6月以上の20歳以上26歳未満の男子(F指標の者及び暴力団員を除く。),[4]特別改善指導の受講に当たり特に調査を必要とする者(性犯罪受刑者等)について,精密な処遇調査を行っている。 処遇調査の結果に基づき,受刑者ごとに処遇指標が指定される。処遇指標は,矯正処遇の種類及び内容,受刑者の属性及び犯罪傾向の進度から構成されており,これにより,収容される施設と本人にふさわしい矯正処遇の重点方針が決定される。 処遇指標の区分及び符号別人員は,2-4-2-2表のとおりである。 2-4-2-2表 処遇指標の区分及び符号別人員 (2)外出・外泊外出・外泊は,開放的施設において処遇を受けているなど一定の要件を備えた受刑者が,一定の用務等を行う必要がある場合に,刑事施設の職員の同行なしに,一時的に刑事施設の外に出ることを許可する制度である。外出は日帰り,外泊は7日以内とされている。一定の用務には,釈放後の住居又は就業先の確保,家族関係の維持・調整のために外部の者と時間をかけて話合いをする必要がある場合,保護司その他の更生保護に関係のある者を訪問する必要がある場合等がある。 これにより,釈放後の生活に円滑に移行するための準備を行う機会が与えられることとなり,受刑者の社会復帰に資することが期待される。 (3)制限の緩和と優遇措置 制限の緩和とは,受刑者に自発性や自律性を身に付けさせるため,受刑者の生活や行動に対する制限を受刑成績に応じて少しずつ緩やかなものにしていく制度である。平成20年4月10日現在の制限の緩和における制限区分別人員(刑事施設本所75庁のほか,刑務支所8庁及び大規模拘置支所4庁(札幌,横浜,さいたま及び小倉)を調査した結果に基づくもの)は,改善更生の意欲の喚起及び社会生活に適応する能力の育成を図ることができる見込みが特に高い受刑者の制限区分である第1種から順に,第1種525人(0.8%),第2種2,289人(3.3%),第3種5万6,132人(81.6%),第4種3,552人(5.2%)及び指定なし6,330人(9.2%)であった(法務省矯正局の資料による。)。 優遇措置とは,改善更生に向けた更なる努力を促すため,比較的短期間のうちに見られる受刑態度に応じて,外部交通の回数を増加させたり,自弁使用できる物品の範囲を広げるなどの措置を講じ,まじめに受刑生活を送っている受刑者により良い待遇を与える制度である。平成20年4月10日現在の優遇措置における優遇区分別人員(刑事施設本所75庁のほか,刑務支所8庁及び大規模拘置支所4庁(札幌,横浜,さいたま及び小倉)を調査した結果に基づくもの)は,受刑態度が特に良好である受刑者の優遇区分である第1類から順に,第1類174人(0.3%),第2類5,652人(8.2%),第3類3万805人(44.8%),第4類8,238人(12.0%),第5類9,535人(13.9%)及び指定なし1万4,415人(20.9%)であった(法務省矯正局の資料による。)。 |