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 平成19年版 犯罪白書 第7編/第5章/第1節/3 

3 最近の量刑の傾向

 ここでは,重大犯罪である殺人,強盗及び強姦について,近年の裁判所による科刑状況を見ることとする。
 殺人,強盗及び強姦の通常第一審における科刑状況(最近10年間)は,7-5-1-1[1],[2]及び[3]図のとおりである。

7-5-1-1図 殺人・強盗・強姦の通常第一審における科刑状況

 殺人で10年を超える有期懲役を言い渡された者の比率は,上昇傾向にあり,平成9年には16.0%であったが,18年には30.6%となった。無期懲役を言い渡された者は,9年には5人であったが,18年には26人となった。また,執行猶予付の判決を言い渡された者の比率は,長期的に見ると低下傾向にあり,9年には21.1%であったが,18年には17.1%となった。
 強盗で10年を超える有期懲役を言い渡された者の比率は,上昇傾向にあり,平成9年には3.2%であったが,18年には9.7%となった。無期懲役を言い渡された者は,9年には25人であったが,18年には71人となった。また,執行猶予付の判決を言い渡された者の比率は,おおむね低下傾向にあり,9年には14.1%であったが,18年には12.0%となった。
 強姦で5年を超える有期懲役を言い渡された者の比率は,上昇傾向にあり,平成9年には8.1%であったが,18年には35.8%となった。その内訳を見ると,近時,より長期の有期懲役が言い渡されるようになってきており,10年を超える有期懲役を言い渡された者は,9年には7人であったが,18年には57人となった。無期懲役を言い渡された者は,9年にはなかったが,最近では,16年に3人,17年に2人,18年に1人となっている。また,執行猶予付の判決を言い渡された者の比率は,低下傾向にあり,9年には31.0%であったが,18年には17.8%となった。