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 平成19年版 犯罪白書 第7編/第5章/第1節/2 

2 近時の立法

 適正な科刑がいかなるものかについては,その時代の社会・経済状況等によって変化するものであるところ,近時,これらを踏まえ,事案の実態に即した適正な処罰を可能とするため,処罰範囲や法定刑を変更する各種の立法がなされている。
 中でも,刑法等の一部を改正する法律(平成16年法律第156号。17年1月1日から施行)は,凶悪犯罪を中心とする重大犯罪に対処するため,[1]有期刑の法定刑の上限を15年から20年に,加重事由がある場合の処断刑の上限を20年から30年に,死刑・無期刑から有期刑に減軽した場合の有期刑の上限を15年から30年に引き上げ,[2]殺人,傷害,傷害致死,危険運転致死傷,強姦,強制わいせつ等の罪の法定刑を引き上げ,集団強姦等の罪を新設するなどしたものであり,これらの犯罪に対する科刑に与えた影響は大きいものと思われる。
 また,近時,検挙件数の増加傾向が顕著であった窃盗,公務執行妨害等の犯罪に適正に対処するため,これらの犯罪に罰金刑を新設するなどした刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律(平成18年法律第36号)が,平成18年5月28日から施行されている。