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 平成19年版 犯罪白書 第2編/第5章/第2節/2 

2 対象者の処遇

 保護観察処遇の実効性を高めるため,分類及び類型別の処遇制度が実施されている。また,特に長期間にわたって刑事施設に収容されていた無期刑及び長期刑(執行すべき刑期が8年以上)の仮釈放者については,円滑な社会生活への移行を図るため,仮釈放当初の1か月間,更生保護施設に居住して生活訓練等を行う中間処遇制度があり,平成18年には,75人に対して実施された(法務省保護局の資料による。)。

(1)分類処遇制度

 分類処遇制度は,一定の基準に基づき,対象者を処遇の困難性に応じてA・Bに分類するもので,昭和46年に導入された。資質,環境等に問題が多く,処遇が困難と予測されるA分類の対象者に対しては,保護観察官が専門的な立場から,保護司と密接に連絡・協議しながら,より積極的・計画的に対象者本人や家族その他の関係者と面接して指導・助言を行うなど,処遇への直接的な関与を高め,重点的に対応している。
 平成18年12月31日現在,A分類率(対象者全員に占める処遇困難と予測された者の比率をいう。)は,仮釈放者が17.6%,保護観察付執行猶予者が8.4%であった(法務省保護局の資料による。)。

(2)類型別処遇制度

 類型別処遇制度は,犯罪・非行の態様,特徴的な問題性等により対象者を類型化した上で,その特性に焦点を合わせた効率的な処遇を実施するもので,平成2年に導入され,15年の類型項目の改正等を経て現在に至っている。
 平成18年12月31日現在,仮釈放者及び保護観察付執行猶予者の主要な類型の認定状況は,2-5-2-6表のとおりである。

2-5-2-6表 保護観察対象者の類型認定状況

 各類型の対象者に対しては,処遇マニュアルを活用した個別処遇が実施されているほか,一部の保護観察所では,対象者本人に対する集団処遇や保護者・引受人を対象とする講習会が実施されている。平成18年度には,「覚せい剤事犯」類型対象者の引受人会(引受人に対する講習会)が,16庁において延べ36回実施され,延べ551人の引受人が参加した(法務省保護局の資料による。)。