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 平成18年版 犯罪白書 第6編/第5章/第6節/1 

1 問題点

(1) 裁判員としての参加意欲

 「あなたは,裁判員に選ばれた場合,裁判員として裁判に参加したいですか。」という質問に対する回答結果は,6-5-6-1図のとおりである。

6-5-6-1図 裁判員としての参加意欲

 「参加したい」又は「参加してもよい」と回答した者は,合計で約28%であるのに対し,「参加したくない」又は「あまり参加したくない」と回答した者は,合計で約62%であり,裁判員としての参加に消極的な者の比率が高い。

(2) 裁判員として参加する場合の最も重要な障害事由

 「あなたが裁判員として今から1ヶ月後の平日(月〜金)の数日間,裁判に参加しなければならない場合,障害となることは何ですか。」という質問に対する回答結果を見ると,「裁判所に数日間行くための日程調整が大変である」と回答した者が約65%と最も多く,次いで,「心理的に不安である」(約53%),「裁判所に行くまでの移動が大変である」(約26%),「金銭上の負担が生じる」(約24%),「自分の健康や体調が心配である」(約21%),「家族の健康や体調が心配である」(約13%)の順であった。
 また,「その中で最も重要な障害を一つだけあげてください」という質問に対する回答結果は,6-5-6-2図のとおりである。

6-5-6-2図 裁判員として参加する場合の障害事由(最も重要な障害)

 「裁判所に数日間行くための日程調整が大変である」と回答した者が約43%と最も多く,次いで,「心理的に不安である」(約28%)の順であった。この二つで全体の約70%を占めることから判断すると,国民が裁判員として裁判に参加しやすい環境を作るためには,この二つの障害をできる限り緩和することが重要であると思われる。

(3) 参加可能な最大日数と裁判員裁判対象事件の開廷回数

 「あなたは,裁判員に選ばれた場合,最大何日間,連続して裁判に参加することが可能ですか。なお,連続した日数は,5日では週の平日の毎日(月〜金),10日では2週連続の平日の毎日(月〜金)を意味します。なお,午前9時に裁判所に来て,午後5時に裁判所を出ることを想定してお答えください。」という質問に対する回答結果は,6-5-6-3図のとおりである。

6-5-6-3図 連続して裁判に参加できる日数

 裁判が毎日連続で開催された場合に,裁判に参加できる最大日数については,「3日以内」と回答した者が約39%と最も多かった。しかし,3日を超える日数を最大日数とした者も相当数おり,「4日〜5日」と回答した者が約8%,「6日〜10日」又は「11日以上」と回答した者が,合計で約5%あった。これらを通算すると,裁判が連続3日以内(すなわち開廷回数が3回以下)であれば,参加可能な者は,合計で約52%いることとなる。
 一方,「あなたが裁判員として参加する事件の裁判日数が[1]5日である場合に,[2]10日である場合に,参加可能な開催方法をお選びください。なお,裁判を行う日程は,裁判員の選任の前にあらかじめ決められていると想定してお答えください。」という質問に対する回答結果は,それぞれ6-5-6-4図[1]及び[2]のとおりである。

6-5-6-4図 裁判の開廷方法

 裁判の開催方法については,途中で休廷日を入れながら各週に数日間ずつ開催する方法を選択すると回答した者が,裁判日数が5日である場合には約50%,10日である場合には約48%を占めた。
 そこで,「裁判が月から金まで連続して開かれるのではなく,途中で休廷日を入れながら各週に数日間ずつ開催する方法である場合,あなたは合計で最大何日間裁判に参加することが可能ですか。」という質問に対する回答結果を見ると,休廷日をはさむ開催方法をとった場合に,裁判に参加できる最大日数については,「3日以内」と回答した者が約25%と最も多かった。ここでも最大日数として3日を超える日数を回答した者を見ると,「4日〜5日」と回答した者が約14%,「6日〜10日」,「11日〜20日」又は「21日以上」と回答した者が,合計で約19%となり,毎日連続で開催する方法をとった場合に比べて,それぞれ約6ポイント,約13ポイント高かった。これらを通算すると,裁判が休廷日を入れながら3日以内(すなわち開廷回数が3回以下)であれば,参加可能な者は,合計で約57%いることとなる。
 一方,平成17年の裁判員裁判対象事件第一審終局総人員の開廷回数別構成比を見ると,最高裁アンケートの結果において,半数を超える者が裁判に参加できると回答した「3回以下」は約39%にとどまり,「3回を超え6回以下」が約36%,「6回超」が約25%であった(本章第5節参照)。