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 平成18年版 犯罪白書 第6編/第5章/第5節/1 

第5節 裁判員制度

1 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律

 平成16年5月28日に公布された裁判員法は,裁判員制度を創設した。
 広く国民が刑事裁判の過程に参加し,裁判の内容に国民の健全な社会常識がより反映されるようになることによって,司法に対する国民の理解と支持が深まり,司法がより強固な国民的基盤を得ることができるようになる。同法律は,一部の規定を除いて,公布の日から起算して5年を超えない範囲内において政令で定める日から施行される。
 裁判員裁判の対象となる事件は,原則として,死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件(1号事件)及び法定合議事件であって,故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係る事件(2号事件)である。
 裁判員裁判では,判決等に係る事実の認定,法令の適用及び刑の量定について,裁判官3人及び裁判員6人(争いのない事件で,一定の条件を満たす場合には,裁判官1人及び裁判員4人)の合議体において評議を行い,裁判官及び裁判員の双方の意見を含む合議体の員数の過半数の意見により評決する。
 裁判員制度における事件の手続の流れは,6-5-5-1図のとおりである。

6-5-5-1図 裁判員制度における事件の手続の流れ(イメージ)

 裁判員の選任までの流れを見る。まず,地方裁判所ごとに,選挙人名簿に登録された者の中から,毎年くじで選定された裁判員候補者名簿が作成される。そして,事件ごとに,裁判員候補者名簿の中から,くじで裁判員候補者を選定し,選任手続のため裁判所に呼び出す。裁判所は,一定の欠格事由,就職禁止事由,事件に関連する不適格事由等に該当する者,一定の辞退事由に該当し裁判所に辞退を認められた者及び検察官又は被告人から理由を示さない不選任請求をされた者を除外した後,裁判員を選任する。