前の項目 次の項目 目次 図表目次 年版選択 | |
|
1 性犯罪の動向 (1) 認知件数・検挙件数・検挙人員・検挙率 強姦の認知件数,検挙件数及び検挙人員の推移(昭和21年以降)は,6-4-1-1図のとおりである。
強姦の認知件数は,昭和39年に戦後最多(6,857件)を記録した後,長期減少傾向を経て横ばい傾向にあったところ,平成9年以降増加傾向に転じた。15年には昭和57年以降で最多(2,472件)となった後,平成16年及び17年と2年連続して減少した。検挙件数及び検挙人員は,近年おおむね横ばい傾向にある。 6-4-1-1図 強姦の認知件数・検挙件数・検挙人員の推移 強制わいせつの認知件数,検挙件数及び検挙人員の推移(昭和41年以降)は,6-4-1-2図のとおりである。強制わいせつの認知件数は,昭和61年までなだらかな長期減少傾向にあったところ,翌62年以降増加傾向に転じた。平成11年以降急増し,15年には戦後最多(1万29件)となった後,16年及び17年と2年連続して減少したが,なお高水準にある。検挙件数は,5年以降3,000件台で推移している。検挙人員は,4年以降ゆるやかな増加傾向にある。 6-4-1-2図 強制わいせつの認知件数・検挙件数・検挙人員の推移 一般刑法犯,強姦及び強制わいせつの検挙率の推移(一般刑法犯及び強姦については昭和21年以降。強制わいせつについては41年以降)は,6-4-1-3図のとおりである。強姦及び強制わいせつの各検挙率は,いずれも一般刑法犯の検挙率を上回り続けている。また,強姦と強制わいせつを比較すると,強姦の検挙率が強制わいせつの検挙率を上回り続けている。 しかし,強姦の検挙率は,平成10年までおおむね90%前後で推移していたところ,11年以降低下し,14年には戦後最低(62.3%)を記録した。翌15年以降は上昇傾向に転じたが,なお低い水準にある。 また,強制わいせつの検挙率は,平成6年に昭和41年以降最高(91.7%)を記録した後,低下傾向となった。平成11年以降急低下し,14年には戦後最低(35.5%)を記録した。翌15年以降は上昇傾向に転じたが,なお低い水準にある。 6-4-1-3図 一般刑法犯・強姦・強制わいせつの検挙率の推移 (2) 発生場所 強姦及び強制わいせつの発生場所別認知件数の推移(最近10年間)は,6-4-1-4図のとおりである。強姦では,屋外比(認知件数総数に占める道路上,駐車場,空き地及び都市公園を発生場所とする認知件数の比率をいう。以下,本項において同じ。)と比べ,住宅比(認知件数総数に占める住宅を発生場所とする認知件数の比率をいう。以下,本項において同じ。)が高く,強制わいせつでは,住宅比と比べ,屋外比が高い。
6-4-1-4図 強姦・強制わいせつの発生場所別認知件数の推移 (3) 被害者と被疑者の関係 強姦と強制わいせつの検挙件数の被害者と被疑者の関係別構成比の推移(最近10年間)は,6-4-1-5図のとおりである。
強姦は,強制わいせつに比べて,一貫して「面識あり」の率が高い。強姦における「面識あり」及び「親族等」の率は,上昇傾向にある。 6-4-1-5図 強姦・強制わいせつの検挙件数の被害者と被疑者の関係別構成比の推移 (4) 死傷者 (5) 主たる動機・原因が性的欲求である犯行 (6) 性的被害の実態 強姦や強制わいせつをはじめとする性犯罪は,認知件数の背景に被害者が届出をしないことによって事案が顕在化しない部分(暗数)がある。法務総合研究所が平成16年に行った第2回犯罪被害実態(暗数)調査においては,調査に回答した女性(1,099人)のうち,過去5年間に性的暴行(調査票では,性的暴行の説明を「男性は時として性的な目的のために,むりやり女性に触ったり,暴行を加えたりすることがあり,それはとても赦せない行為です。過去5年間に,あなたはこれらの性的な被害に遭われたことがありますか。家庭内における性的暴行も含めてください。」としている。)を受けたことがあると回答したのは27人(回答者の2.5%)であった。このうち,被害を捜査機関に届け出たと回答したのは4人(14.8%)であった。
|