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 平成18年版 犯罪白書 第6編/第3章/第2節/1 

第2節 地域の犯罪予防活動

1 地域の犯罪予防活動

 「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」は,地域の犯罪予防活動への支援を重視し,「平穏な暮らしを脅かす身近な犯罪の抑止」,「社会全体で取り組む少年犯罪の抑止」等を重点課題として設定し,具体的な施策として「自主防犯活動に取り組む地域住民,ボランティア団体の支援」,「地域社会における教育と少年の居場所づくりの促進」等を挙げた。
 地域住民による自主防犯活動は,最近,盛り上がりを見せている。平成17年12月31日現在,警察庁が把握している防犯ボランティア団体の数は,1万9,515団体,構成員数は,119万4,011人であった。16年同日現在と比べ,防犯ボランティア団体数では約2.4倍,構成員数では約2.3倍と大幅に増加している。
 月平均の活動日数を見ると,「月3日又は4日」が3,951団体と最も多かったが,「月20〜29日」も3,880団体あった。毎日活動する団体は,1,711団体であり,平成16年同日現在と比べ,約3.6倍となった(警察庁生活安全局の資料による。)。
 地域の犯罪予防活動に対する地域住民の参加意識について見ると,内閣府が平成18年6月から7月にかけて実施した「子どもの防犯に関する特別世論調査」では,「地域の防犯活動に参加したいと思いますか」という質問に対し,「参加したい」と答えた者の割合は73.4%,「参加したくない」と答えた者の割合は23.7%であった。なお,「参加したくない」と答えた者に,防犯活動に参加したくない理由を聞いたところ,「忙しくて時間がないから」を挙げた者の割合が51.0%と最も高かった。
 主な活動内容を見ると,約81パーセントの団体が徒歩による防犯パトロールを,約66%の団体が通学路における子どもの保護・誘導を実施している(警察庁生活安全局の資料による。)。
 また,平成17年12月31日現在,青色回転灯を装備した自動車による防犯パトロールを実施している団体は1,452団体あり,16年同日現在(102団体)と比べ,大幅に増加している(警察庁生活安全局の資料による。)。
 さらに,少年の非行防止につながる健やかな育成への取組も活発に行われてきており,「あいさつ,声かけ運動」,「少年の居場所づくり運動」等が行われている。
 こうした地域の犯罪予防活動の活発化と時を同じくして,一般刑法犯の認知件数の減少が生じている。認知件数の減少を詳細に分析すると,例えば,街頭において行われることの多い類型に属する車上ねらい,自転車盗等の窃盗の減少が大きい(本編第2章第1節2参照)。このような類型の犯罪に対しては,地域における防犯パトロール等の犯罪予防活動が効果を上げやすいとの指摘もあり,地域の犯罪予防活動の活発化が一般刑法犯の認知件数の減少に貢献していることがうかがわれる。関係諸機関は,こうした地域の防犯ボランティア活動に対する支援を強化するとともに,地域社会と連携して,治安回復に向けた取組をさらに活発化していくことが必要であろう。