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 平成18年版 犯罪白書 第3編/第1章/第3節/2 

2 裁判所における処理状況

(1) 概況

 通常第一審(地方裁判所及び簡易裁判所に限る。以下,本節において同じ。)における外国人事件(外国人が被告人となった事件をいう。以下,本節において同じ。)及び通訳・翻訳人の付いた外国人事件の有罪人員の推移(最近10年間)は,3-1-3-4図のとおりである。
 外国人事件の有罪人員及び通訳・翻訳人の付いた外国人事件の有罪人員は,平成13年以降,おおむね増加傾向にあったが,17年は前年と比べて,いずれも減少した。17年における通常第一審の有罪人員総数に占める外国人有罪人員の比率は,11.6%であった(司法統計年報及び最高裁判所事務総局の資料による。)。

3-1-3-4図 外国人事件の有罪人員の推移

 平成17年における通常第一審の被告人通訳事件(被告人に通訳・翻訳人の付いた外国人事件をいう。以下,本項において同じ。)の終局総人員は,9,303人であり,通訳言語の総数は40言語余に及んでいる。通訳言語別の内訳を見ると,中国語が4,212人(45.3%)と最も多く,次いで,韓国・朝鮮語968人(10.4%),タガログ語673人(7.2%),ポルトガル語545人(5.9%),タイ語512人(5.5%),スペイン語426人(4.6%),英語292人(3.1%)の順であった。これらのうち,上位3言語は,10年以降順位に変動がない(最高裁判所事務総局の資料による。)。

(2) 科刑状況

 平成17年の通常第一審における被告人通訳事件の有期懲役・禁錮の執行猶予率は,81.8%(前年比2.9%減)であり,日本人有罪人員の有期懲役・禁錮の執行猶予率59.2.%(前年比0.7%減)よりもかなり高い。これは,被告人通訳事件の約59%を占める入管法違反の執行猶予率(93.3%)が非常に高いことによるものと考えられる(最高裁判所事務総局の資料による。)。
 また,通常第一審における被告人通訳事件の有罪人員(懲役・禁錮)の刑期別構成比の推移(最近5年間)は,3-1-3-5図のとおりである。
 5年間を通して見ると,刑期が2年未満の者の占める比率が低下する一方,刑期が「2年以上3年以下」の者の占める比率が上昇している。

3-1-3-5図 通常第一審被告人通訳事件の有罪人員の刑期別構成比の推移