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 平成17年版 犯罪白書 第4編/第6章 

第6章 諸外国の少年非行

 本章においては,我が国の少年非行の動向等を諸外国と比較するため,入手し得た公的資料の範囲内で,フランス,ドイツ,英国(イングランド及びウェールズに限る。以下同じ。)及び米国の4か国について,1994年から2003年までの10年間における少年非行の動向並びに少年司法制度及びその運用状況を概観する。
 我が国と前記4か国においては,それぞれ犯罪とされる行為の範囲や犯罪構成要件を異にし,統計の取り方も同一ではない上,少年とされる年齢に差異もあるため,正確な比較は困難であるが,刑法犯等主要な犯罪並びに殺人,強盗,傷害,窃盗及び強姦の5罪種(我が国においてこれらの罪名で呼ばれている犯罪との比較を行うためには,前記4か国においては複数の罪名の統計数値を合算する必要があるため,本章においては,これを「罪種」と呼び,これら5罪種を「特定5罪種」と呼ぶこととする。)について,可能な限り同じ年齢層別に統計数値を整理するという方法によって,各国の少年非行の動向を概括的に把握することとした。
 また,前記4か国の少年非行の実態の理解に資するため,各国について,少年非行の動向と併せて,少年司法制度及びその運用状況を概観することとした。
 なお,本章においては,我が国と前記4か国の少年非行の動向を見るに当たって,各国の少年年齢の相違から,便宜上,原則として,「少年」とは,我が国及びフランスについては,18歳未満の者,ドイツについては,14歳以上18歳未満の者,英国及び米国については,10歳以上18歳未満の者とし,「青年」とは,我が国については,18歳以上20歳未満の者,ドイツ,英国及び米国については,18歳以上21歳未満の者とし,「成人」とは,我が国については,20歳以上の者,フランスについては,18歳以上の者,ドイツ,英国及び米国については,21歳以上の者とする。また,「少年人口比」とは,10歳以上18歳未満(ただし,ドイツについては,14歳以上18歳未満。)の人口10万人当たりの検挙人員の比率,「青年人口比」とは,18歳以上21歳未満(ただし,我が国については,18歳以上20歳未満。)の人口10万人当たりの検挙人員の比率,「成人人口比」とは,21歳以上(ただし,我が国については,20歳以上,フランスについては,18歳以上。)の人口10万人当たりの検挙人員の比率をいう。