4 重大事犯少年に対する処遇 少年院においては,個々の少年の必要度等を勘案して個別的処遇計画が立案され,処遇が行われていた。被害者の視点を取り入れた教育や保護者に対する働き掛けのために多くの手法が組み合わされて実施されていた。また,処遇に困難を伴った事例を検討したところ,資質面での問題が大きな者,家族のサポートが容易に得られない者が含まれており,これらに対し,精神医療面での手当て,家族関係の調整等,少年の問題性に応じた手厚い働き掛けが加えられていた。 刑務所においても,少年院と同様に少年受刑者に対して個別的処遇計画が立案され,これに基づく処遇が行われていた。刑務所での処遇期間は,少年院よりも長い場合が多く,その中で職業訓練等,出所後の職業生活に直結した処遇が行われていたが,まだ在所中の者が多く,処遇内容については途中経過の分析にとどまった。 保護観察所では,矯正施設で処遇されている段階から,少年が抱える問題の解消のため施設と連携をとって,引受人の引受意思を積極化させるための働き掛けを始め,引受人から釈放後の就労や就学,生計の見通しについて聴取するなど帰住予定地の環境調整に当たっていた。 保護観察の段階にあっては,個々の対象者の問題に応じて定められる遵守事項に沿って,分類処遇や類型別処遇が活用されていた。また,被害者や遺族に関連する指導助言の状況を見ると,被害者等調査,被害者を視野に入れた指導・助言等が実施されていた。
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