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 平成17年版 犯罪白書 第4編/第3章/第2節/3 

3 保護者の指導力及び家族関係の問題

 最近の非行少年の保護者の指導力に関する少年院教官の認識は,4-3-2-8図のとおりである。
 指導力に問題のある非行少年の保護者が「増えた」と認識している少年院教官が80%を超えている。

4-3-2-8図 指導力に問題のある保護者が増えたか(少年院教官調査)

 「最近の非行少年の処遇において,以前より大きくなっていると感じる親の指導力の問題には,どのようなものがありますか。」との質問に対し,少年院教官が回答した結果は,4-3-2-9図のとおりである。
 「子供の行動に対する責任感がない」とする点につき,問題であるとする比率が62.5%と最も高く,次いで,「子供の言いなりになっている」(50.2%),「子供の行動に無関心である」(49.1%)の順であり,無責任な保護者やでき愛傾向の保護者が増えたとする比率が高い。「虐待がある」という保護者が増えたと認識している比率は36.1%であった。保護者調査では,子育ての問題として,保護者は,「子供に口うるさかった」,「夫婦の子育ての方針が一致していなかった」などを上位に挙げていた(4-3-1-5図参照)が,少年院教官は,過干渉や父母の指導の不一致よりも,親としての子供に対する責任感,関心が最近の保護者に不足していると感じていることがうかがわれる。

4-3-2-9図 保護者の指導力の問題(少年院教官調査)

 「最近の非行少年の処遇において,以前より大きくなっていると感じる少年の家族関係の問題には,どのようなものがありますか」との質問に対し,少年院教官が回答した結果は,4-3-2-10図のとおりである。
 「家族との情緒的交流がない」とする点につき,問題であるとする比率が64.3%と最も高く,次いで,「非行が家族に与えた影響を理解できない」(37.9%),「家庭内が不和である」(35.7%)の順であった。
 非行少年調査では,家庭生活に対する満足度が上昇傾向にあり,親への不満も弱まりつつあることがうかがわれるが,少年院教官は,親子がぶつかり合うことも含めた家族との情緒的交流の乏しさが問題であると考えていることがうかがわれる。

4-3-2-10図 家族関係の問題(少年院教官調査)