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 昭和39年版 犯罪白書 第四編/第二章/四/1 

四 少年に対する保護観察

1 少年院からの仮退院

 少年院からの仮退院は,原則としては少年院で処遇の最高段階に達した者について,本人の性格,行状,態度および能力,施設内での成績,帰住後の環境などから判断して保護観察のもとでの更生がおおむね期待できるようになったとき,,これを許すことになっている。
 仮退院許否の決定は,第三編第三章仮釈放でのべたとおり,地方委員会において行なわれる。最近五年間における,その受理と決定の状況は,IV-74表のとおりで,仮出獄の場合とことなり,昭和三五年まで増加し,以後漸減している。また,棄却,不許可の決定の割合は最高一・七%で,仮出獄のそれと比べ,非常に低率であるが,最近はやや上昇傾向にある。

IV-74表 最近5年間の仮退院の新受と決定の状況(昭和33〜37年)

 次に,少年院出院者の出院事由をみると,IV-75表のとおり,仮退院率は,昭和三五年の七八・三%を頂点に,やや下向気味であるが,通じて七〇%以上が仮退院者である。

IV-75表 少年院出院者の出院事由別人員(昭和33〜37年)

 また,少年院の種別ごとに退院の状況をみると,IV-76表の示すとおり,昭和三七年の仮退院率は初等少年院の九五・七%を最高に,中等少年院の七七・九%,特別少年院の六七・三%で,医療少年院は最低の六五・四%である。すなわち,非行性の進んだ少年,または,心身に欠陥のある少年は仮退院になる率が低い。

IV-76表 少年院種別ごとの出院者の退院,仮退院人員(昭和37年)