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 昭和39年版 犯罪白書 第三編/第四章/五/1 

1 更生保護会

 更生保護会は,民間の篤志家が法務大臣の認可をうけて,更生保護事業を営む団体であり,その行なう事業の種類によって,直接更生保護会と連絡助成保護会とに分れている。更生緊急保護の対象者と保護観察中の対象者で,緊急な保護や応急の救護または援護を要する者を収容保護しているのは,直接更生保護会である。
 直接更生保護会は,大部分が民法上の公益法人になっているが,その数や収容定員の状況はIII-97表のとおりで,昭和三九年二月一日現在全国に一六三(うち八は事業休止中)団体,収容定員四,二五五人で,昭和三七年に保護の措置を実施した人員は一七,五四六人(保護観察対象者八,二九〇人,更生緊急保護対象者九,二五六人)である。

III-97表 直接更生保護会の種類別施設数と収容定員等(昭和39年2月1日)

 更生保護会の役目が,刑事政策上きわめて重要なものであることはいうまでもないが,その経営内容は,必ずしも安定していない。法務省保護局の調査によると,更生保護会の専従職員の平均月収は一四,一五七円(昭和三八年二月三一日現在調査)であり,また国が更生保護会に支出する委託費等による収人は,更生保護会の全収入の約三割にすぎず,収入財源の過半は寄付金等によりまかなわれている。
 なお,連絡助成保護会は,主として,直接更生保護会の指導,連絡,助成を行なう団体であって,昭和三九年二月一日現在五九団体あるが,その活動はいまだ十分とはいえない。
 これらの更生保護会の活動は,犯罪者の更生保護に欠くことのできない重要なものであるから,今後いっそうその強化充実をはかることが必要であろう。