前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 昭和39年版 犯罪白書 第三編/第四章/五 

五 更生緊急保護

 保護観察に付された者に対しては,必要な指導監督,補導援護が実施されるのであるが,保護観察に付されない者でも,とくに再犯を防止し更生を助長する必要があると思われる者について,本人から保護の申し出があった場合は,更生緊急保護法により保護措置をとることができる。
 更生緊急保護の対象となる者は,(1)満期釈放者,(2)刑執行免除者,(3)刑執行猶予の言渡しをうけ,その裁判が確定するまでの者,(4)刑執行猶予で保護観察に付されなかった者,および,(5)訴追を必要としないため,公訴を提起しない処分をうけた者(起訴猶予者)の五種類で,これらの者に対しては,刑事上の手続による身体の拘束を解かれた後,六月以内に限って,本人の申し出があった場合,補導,宿泊所の供与,食事つき宿泊の供与,食事の給与,医療および保養の援助,帰住の援助および金品の給与または貸与等の措置を,その更生に必要かつ相当の限度において,とることができる。このため,少年院の本退院者,罰金や科料の刑確定者,またその刑執行終了者,罰金の刑執行猶予者,起訴か起訴猶予かが未確定の者,刑事上の身柄の拘束を解かれてのち六月を越えた者については,法による更生保護の手段がなく,法律によらない事実上の保護にたよっているのが現状である。なお,前記措置のうち,食事つき宿泊,宿泊,補導等の措置は,更生保護会(または地方公共団体)に委託して行なわれ(委託保護),その他は保護観察所がみずから行なう(自庁保護)のである。