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2 暴力組織関係受刑者の仮釈放の決定状況 暴力組織関係受刑者の仮釈放の決定状況については,一般的な統計はないが,さきに法務総合研究所が関東地方更生保護委員会の決定した仮出獄事件について,小規模な調査を行なったことがあるので,これを紹介しよう。すなわち,法務総合研究所は,関東地方更生保護委員会が昭和三六年に決定した仮出獄事件のうち,姓が「あ行」で始まる暴力組織関係者(かつて暴力組織に関係したことのある者を含む)九三人を抽出し,同委員会の記録により調査を行なった。その結果,明らかにされたところは,次のとおりである。ただ調査対象人員が少ないため,これをもって全体的結論を下すことには問題もあろうが,一応の傾向をつかむことはできよう。
その仮出獄許否の決定状況は,III-76表のとおりで,その棄却,不許可率一八・三%は,昭和三六年全国地方委員会が決定した刑法犯における暴力犯罪の棄却,不許可率一一・六%に比べると,かなり高率である。これは,地方委員会が仮出獄許否の審理を行なうにあたり,暴力組織との結びつきが,たぶんに更生に支障をきたすおそれがあるとの配慮が,相当つよく働いていることを示すものといえよう。 III-76表 関東地方委員会が昭和36年決定した暴力組織関係者の仮出獄許否状況 また,前記抽出標本九三人の暴力組織関係者のうち,仮出獄許可になった七六人について,前歴の有無を,昭和三六年仮出獄になった全員のそれと比較してみると,III-77表のとおりで,仮出獄者全員の八二・八%がなんらかの前歴をもっているのに対し,暴力組織関係者は九三・四%が前歴のある者となっている。しかも,前歴のうち,家庭裁判所において保護処分を受けた者が,暴力組織関係者に多い。このことは,暴力組織関係の受刑者には,少年時に,すでになんらかの処分を受けている者が少なくないことを示しており,更生の困難さを思わせるものがある。仮釈放決定上留意すべきことであろう。III-77表 仮出獄した暴力組織関係者と全員との前歴の有無比較(昭和36年) |