前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 昭和39年版 犯罪白書 第三編/第三章/三/1 

1 暴力犯罪受刑者の仮釈放の決定状況

 暴力犯罪受刑者の仮釈放の決定状況を最近三年間についてみれば,III-75表のとおりである。

III-75表 仮出獄許否状況罪名別累年調査(昭和35〜37年)

 決定人員は総数において,,刑法犯全体においても逐年減少しているが,暴力犯罪は逆に逐年増加しており,特別法犯こおいても,暴力および暴力に関連する犯罪は,同じく増加している。これは,刑務所収容人員中,暴力および暴力に関連する犯罪者の占める割合が増加しているためであろう。
 また,決定人員中に占める棄却,不許可の割合は,刑法犯では,暴力犯罪とその他の犯罪との間に,昭和三五年には差がみられないが,昭和三六年,三七年とその差は大きくなり,暴力犯罪が高い率を示し,上昇の度合いも著しい。これをグラフに示すとIII-2図のとおりである。特別法犯においても,暴力犯罪および暴力に関連する犯罪は,刑法犯の場合よりも高い棄却,不許可率を示している。

III-2図 暴力犯罪とその他の犯罪とめ棄却,不許可率(昭和35〜37年)

 このことは,暴力および暴力に関連する犯罪者には,その他の犯罪者に比べ,これに対する社会感情も悪く,資質,性格,環境等,更生を困難ならしめる諸条件をもった者が多く,また,暴力組織に関係している者,それと関係をもちやすい者が少なくないことなどから,仮釈放の許否がきわめて慎重に検討されているためであろう。