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 昭和39年版 犯罪白書 第三編/第一章/四/7 

7 給食

刑務所における主食は,原則として,米四,麦六の割合で,性別,年齢,従事する作業の強度などによって,一等食(一日三,〇〇〇カロリー),二等食(二,七〇〇カロリー),三等食(二,四〇〇カロリー),四等食(二,〇〇〇カロリー),および五等食(一,八〇〇カロリー)の五等級に分けられ給与される。
 副食については,昭和三八年度は,受刑者一日ひとりあたり予算額二五円九〇銭(三食分)で,昭和三七年度よりは一円四〇銭の増加であるが,陸上自衛隊(八〇円二〇銭)生活保護(五八円八三銭)などに比較して,はるかに低いため,栄養の補給に特にくふうしているが,予算額自体が十分とはいえない。
 法務省矯正局が労働科学研究所に委嘱して行なった調査(昭和三八年八月)では,III-41表のとおり受刑者の身長,体重等は,同年齢層の一般国民のそれと大差はないが,身体症候のうち,けん反射消失,ひ腹筋圧痛,浮しゅなどは,一般国民より発現率が高く,しかも,在所期間が長くなるほど,発現率が高くなる傾向のあること,さらに,栄養の面では,たんぱく質の給与状況に問題があり,入所後一年以上のものに,その不足が目だっていることが,明らかにされた。さしあたり,現行の予算の範囲内で,必要な良質のたんぱく質の補充をいかにすべきかが,重要な課題であるといえよう。

III-41表 受刑者栄養状態調査結果(昭和38年)

 なお,結核患者には特別の副食費,結核以外の患者や妊産婦には,医師の意見にもとづいて,特別の栄養食品,延長作業や特殊の構外作業に従事したものには加給食,外国人には特別の外国人給食が考慮されている。