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 昭和39年版 犯罪白書 第二編/第二章/三/3 

3 財産刑の執行

 わが国の財産刑には,罰金と科料がある。両者の区別は,本来,それぞれを法定刑とする犯罪の性質を異にするという点にあったが,現在では,その点はあまり明瞭ではなく,罰金は千円以上,科料は五円以上千円未満と定められ,単に金額の範囲に,その相違がみられるにすぎない。
 最近五年間の罰金および科料の調定人員ど調定金額についてみると,II-32表(1)(2)のとおりである。この表によると,罰金は,人員も金額も急増し,とくに昭和三六年度および昭和三七年度において,毎年急激な上昇を示している。反面,科料は減少傾向にあり,とくに昭和三七年度は激減している。この原因については,既に本章の一「裁判の概況」において述べたとおりである。

II-32表

 次に,昭和三七年度における調定人員と調定金額に対する徴収状況についてみると,II-33表のとおりで,罰金の未済率は七・八%,科料の未済率は五・七%である。なお罰金や科料の納付義務者が個人で,その資力がないため,罰金や科料を納付しないときは,これにかわる処分として,一完の割合で換算した期間,労役場に留置される。この労役場留置の執行状況は,II-34表(1)(2)のとおりで,罰金については,留置期間は一月以下の場合が八四・一%を占め,また,科料については,その留置期間が五日以下の場合が八九・〇%を占めている。

II-33表 罰金および科料の徴収状況(昭和37年)

II-34表 労役場留置期間別人員(昭和37年)