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公共の福祉の維持の面からも,また基本的人権保障の立場からも,事件処理の期間は,できるかぎり短かい方が望ましいことはもちろんである。昭和三七年に,全国の検察庁において処理された道交違反を除く被疑事件の処理期間をみると,II-9表のとおりである。この表によれば,一月以内に七七・八%,三月以内に九一・八%,六月以内に九六・七%の事件が処理されており,全体として事件の迅速処理の実をあげているといえよう。そこで,どのような事件の処理が,一般に長期間を要するかをみるため,既済事件の処理期間を,告訴告発事件とその他の事件に区分し,さらにこれを刑法犯,準刑法犯と特別法犯とに区分して示すと,II-10表のとおりである。
II-9表 被疑事件処理期間別人員(昭和37年) II-10表 被疑事件処理期間別人員(昭和37年) まず一般的にみて,最も短かい期間に処理されているのは,その他の事件のうちの刑法犯,準刑法犯であり,最も長い期間を要しているのが,告訴告発事件のうち刑法犯,準刑法犯である。一月以内に処理されたものの割合を多い順にみると,その他の事件のうちの刑法犯,準刑法犯は八〇・六%,同じく特別法犯は七四・四%であり,告訴告発事件のうちの特別法犯は六一・三%,同じく刑法犯,準刑法犯は三九・〇%となっている。次に,六月を越えるものの割合を多い順にみると,告訴告発事件のうちの刑法犯,準刑法犯は二七・七%,同じく特別法犯は七・〇%であり,その他の事件のうちの特別法犯が,二・六%同じく刑法犯,準刑法犯が二・五%となっており,ちょうど前の場合の順序と逆になっている。そして,右のような事件処理期間の状況は,最近数年間ほとんど同一の傾向をとっているが,これは,告訴告発事件には,民事事件に関係する複雑な事件が多く,また,証拠の収集および評価や法律問題にむずかしい点を含んでいるものが比較的多いためであると考えられる。なお,告訴告発事件の中で特別法犯の事件処理期間が,刑法犯,準刑法犯のそれに比し,短期間であるのは,特別法犯の中には,公務員による告発事件がかなり含まれており,これらの事件は,一面において,証拠が比較的よく整っており,他面起訴に価する事件が多いため,比較的短期間に処理される結果であるように思われる。 |