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昭和三七年中に,全国の検察庁で処理した被疑者の総数は六,七四四,六五九人である。この処理総数と,これに含まれている道交違反の処理数とを,処理の区分別に,昭和三六年のそれと対比して示すと,II-6表の(1)(2)のとおりである。
II-6表 処理総数は昭和三六年と比べて約三四%増という大幅な増加を示し,これを処理区分別にみると,起訴数と検察庁間の移送の数が著しく増加しているのが目だっている。これら処理総数等の増加が,主として道交違反の増加によるものであることは,前掲II-6表(1)および(2)を対比すれば明白であろう。次に,起訴された者について,起訴の手続別,すなわち公判請求,略式命令請求および即決裁判請求の三区分別に,昭和三六年のそれと対比してみると,II-7表のとおりである。起訴合計は昭和三六年より約三八%増加しているが,公判清求はかえって減少し,略式命令請求と即決裁判請求が顕著な増加を示している。これは前述のように,起訴合計の増加のおもな原因となっている道交違反の起訴が,大部分略式命令請求と即決裁判請求によってなされる結果である。 II-7表 起訴区分別被疑者処理人員(昭和36,37年) 次は起訴率であるが,起訴率は,中止,検察庁間の移送,家裁送致等の中間処分を除き,起訴と不起訴との合計数のうちで,起訴の占める割合とみるのが妥当であると考えられる。そこで,右の算出方法により,刑法犯,特別法犯,道交違反の三者別に,昭和三三年以降最近五年間における起訴率の推移をみると,II-8表のとおりである。この表によると,最近五年間において,起訴率は全体として,累年上昇の傾向にあり,ことに刑法犯においては,ここ五年間に一〇%近くの上昇をみせていることが明らかである。また昭和三三年において,既に八三・八%という起訴率を示していた道交違反が,昭和三七年においては,さらに八八・二%という高い起訴率を示していることが注目される。これは道交違反,業務上過失傷害等の交通関係事犯および傷害,暴行等の暴力事犯に対する検察庁の処理方針が,しだいにきびしくなってきたことが,かなり大きく影響していると思われる。II-8表 起訴率の推移(昭和33〜37年) |