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 昭和39年版 犯罪白書 第一編/第二章/一/5 

5 過失犯罪

 過失犯罪の主要なものには,業務上過失致死傷(重過失を含む。以下同じ),その他の過失致死傷,失火がある。I-14表は最近五年間の過失犯の検挙人員数の推移を示したものであるが,失火は多少の増減はあるにしてもたいした変動はみられず,単純過失致死傷は年年大幅に減少している。これに反し,業務上過失致死傷罪の増加は,まことにとどまるところを知らない感がある。これは,そのほとんどが自動車による事故であり,道交法違反の急増とともに看過できない問題である。戦前の昭和一九年から二〇年間の業務上過失致死傷罪の検挙人員の増加状況をグラフで示すと,I-7図のとおりであるが,この曲線をみると事の重大性がいっそう強く感ぜられるであろう。

I-14表 過失犯罪検挙人員数(昭和34〜38年)

I-7図 業務上過失致死傷検挙人員の推移(昭和19〜38年)

 この問題は,後に交通犯罪の項で改めてとりあげるので,ここでは業務上過失致死傷と重過失致死傷事件で,検察庁において既済となったもののうち,少年の占める割合についてふれるにとどめよう。I-15表は,その割合を示す表である。この表によってわかるとおり,この種事犯中,少年の占める割合は,業務上過失致死傷では一八%ないし一九%であるが,無免許運転による人身事故を,その内容の大部分とする重過失致死傷事件では四四%という高率を示しているのである。

I-15表 既済事件の受理時少年人員調べ(昭和36,37年)