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 平成16年版 犯罪白書 第4編/第2章/第6節/6 

6 保護観察の実施結果

(1) 保護観察終了時の状況

 4-2-6-9図は,保護観察処分少年(交通短期保護観察少年を除く。以下,本項において同じ。)及び少年院仮退院者の保護観察終了時における職業等の構成比を,最近10年間について見たものである。この間,保護観察処分少年,少年院仮退院者ともに,有職の比率が低下し,無職及び学生・生徒の比率が上昇する傾向がある。
 なお,ある年次における保護観察受理人員と,その年次における保護観察終了人員とでは,その対象が異なるので,前者と後者を比較するのは,必ずしも適当でないが,おおよその対象者の就労状況の改善の傾向を知るため,職業等の状況を,保護観察終了人員と保護観察新規受理人員(4-2-6-6図)とで比較すると,保護観察終了人員の方が無職の比率が低いことが分かる。

4-2-6-9図 保護観察対象少年の保護観察終了時職業等

 4-2-6-10図は,保護観察処分少年及び少年院仮退院者の保護観察終了事由の構成比を,最近10年間について見たものである。保護観察処分少年については,平成15年では,良好措置である解除で終了する者の比率が75.6%と約4分の3を占めている。
 少年院仮退院者については,平成15年では,良好措置である退院で終了した者の比率が18.8%,期間満了によるものが64.8%,「戻し収容・保護処分取消し」によるものが16.1%となっていて,この割合はこの10年間にほとんど変化がない。

4-2-6-10図 保護観察対象少年の保護観察終了事由別構成比

(2) 再処分の状況

 4-2-6-11表は,保護観察が終了した保護観察処分少年及び少年院仮退院者のうち,保護観察期間中に再度の非行・犯罪により保護処分(戻し収容を除く。)又は刑事処分を受けた者の比率(以下「再処分率」という。)を,最近10年間について見たものである。
 再処分率は,保護観察処分少年,少年院仮退院者ともに,平成8年まではおおむね低下する傾向にあった。その後,保護観察処分少年では,9年以降やや上昇傾向にあって,15年には19.1%となっている。少年院仮退院者では,全期間を通じ上昇・低下を繰り返していて,15年は23.5%と前年より0.9ポイント低下している。

4-2-6-11表 保護観察対象少年の再処分率


●地域不良集団(P244)
 地域を中心に学校や職場を越えて形成されている,不良文化を共有する少年たちの集団です。そろいの服を着て集団でかっ歩する「カラーギャング」や「チーム」がその代表例です。暴走族と比べて,特定の行動目的を持たず,集団としての組織性も強くありませんが,ときとして,ひったくりや恐喝,強盗などを引き起こすことがあります。

●保護処分取消し(P249)
 保護処分は,個々の非行事実に対してではなく,人に対してなされるもので,一人の少年に一つの保護処分が存在するのが原則です。このため,家庭裁判所では,保護処分が継続中に,新たな非行事実の送致を受け,それについて新たに保護処分をした場合には,前の処分を(時には後の処分を)取り消すことがあります。また,保護処分の継続中に,本人に対する有罪判決が確定した場合にも,家庭裁判所は保護処分を取り消すことがあります。