前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 平成16年版 犯罪白書 第4編/第2章/第6節/3 

3 保護観察対象少年の特徴

 保護観察対象少年の特徴を,平成15年における保護観察処分少年(交通短期保護観察少年を除く。以下,本項において同じ。)及び少年院仮退院者の保護観察新規受理人員について見る。

(1) 男女別と非行名

 4-2-6-2図は,新規受理人員の非行名を男女別に見たものである。男子の新規受理人員は,保護観察処分少年が2万3,772人中2万685人(87.0%),少年院仮退院者が5,587人中5,049人(90.4%)で,全体の87.7%を占めており,女子は,保護観察処分少年が2万3,772人中3,087人(13.0%),少年院仮退院者が5,587人中538人(9.6%)であった。
 非行名について見ると,保護観察処分少年では,男女ともに窃盗が最も多く(男子38.6%,女子29.0%),次いで,男子では,道路交通法違反,傷害,女子では,傷害,道路交通法違反,毒劇法違反が多い。少年院仮退院者については,男子では,窃盗(39.1%)が最も多く,次いで,傷害,道路交通法違反,強盗の順となっており,強盗が多い点で保護観察処分少年とは傾向が異なっている。女子では,覚せい剤取締法違反(29.6%)が最も多く,次いで,窃盗,虞犯,傷害の順となっており,保護観察処分少年及び男子の少年院仮退院者とは大きく異なる。

4-2-6-2図 保護観察対象少年新規受理人員の非行名別構成比

(2) 年齢層

 4-2-6-3図は,新規受理人員を年齢層別に見たものである。保護観察処分少年では,16・17歳及び18・19歳が共に40%をやや上回る程度のほぼ同率で,15歳以下の者は20%以下である。少年院仮退院者では,18・19歳の占める比率が46.7%と最も高く,16・17歳が32.3%で,20歳以上の者も14.4%に達し,全体として保護観察処分少年よりも年齢層が高い。

4-2-6-3図 保護観察対象少年新規受理人員の年齢層別構成比

(3) 保護処分歴

 4-2-6-4図は,新規受理人員の保護処分歴を見たものである。保護観察処分少年では,処分歴のない者が48.9%(前年比1.2ポイント低下)とほぼ半数を占め,次いで,保護観察処分歴のある者が19.2%,家庭裁判所での不処分歴のある者が14.1%,同審判不開始歴のある者が14.3%となっている。これに対して,少年院仮退院者では,処分歴のない者は23.4%(同0.8ポイント低下),処分歴のある者は,保護観察処分が43.2%,少年院送致(1回と2回以上の合計)が19.0%,不処分が5.1%,審判不開始が6.1%であった。

4-2-6-4図 保護観察対象少年新規受理人員の保護処分歴別構成比

(4) 不良集団関係歴

 4-2-6-5図は,新規受理人員の不良集団関係歴を見たものである。保護観察処分少年では,不良集団関係のない者が6割以上で,暴走族と関係がある者が12.8%,地域不良集団と関係がある者が14.7%,不良生徒・学生集団と関係がある者が5.2%であった。少年院仮退院者では,不良集団関係のない者が約4割で,暴走族と関係がある者(32.3%)及び地域不良集団と関係がある者(19.5%)が多い上に,暴力団と関係がある者も4.6%おり,約6割の者に不良集団関係が認められた。

4-2-6-5図 保護観察対象少年新規受理人員の不良集団関係歴別構成比

(5) 薬物等使用歴

 新規受理人員の薬物等使用歴を見ると,保護観察処分少年では,使用歴のない者が88.5%であり,シンナー等有機溶剤の使用歴のある者が9.2%,覚せい剤が1.1%,大麻その他が1.1%であった。少年院仮退院者では,使用歴のない者が69.9%であり,シンナー等有機溶剤の使用歴のある者が20.0%,覚せい剤が8.0%,大麻その他が1.8%であって,保護観察処分少年よりも使用歴のある者の比率が高い(保護統計年報による。)。

(6) 保護観察開始当初の職業等

 4-2-6-6図は,最近10年間における新規受理人員について,保護観察当初の学職別構成比の推移を見たものである。保護観察処分少年及び少年院仮退院者ともに,有職の比率が低下し,無職及び学生・生徒の比率が上昇する傾向にある。平成15年においては,保護観察処分少年では,有職が約4割,無職及び学生・生徒が共に約3割であるのに対し,少年院仮退院者では,無職が約7割を占め,有職が2割強,学生・生徒が1割以下であった。

4-2-6-6図 保護観察対象少年新規受理人員の学職別構成比