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 平成15年版 犯罪白書 第5編/第7章/第1節/4 

4 大都市への集中と近接地域への拡散の兆候

 強盗認知件数の分布を見ると,東京・大阪等大都市に集中しているものの,20年間における発生率の変動を見ると,東京周辺の県と大阪及びその周辺の県での増加率が高いにもかかわらず,東京では全国平均を下回る,「ドーナツ化現象」が生じ,長期的に見ると大都市のベッドタウンを抱える近隣地域への拡散の傾向が現れている。その背景としては,こうした近隣地域が匿名性の高い都市部に近接し交通の便も良い上に,同地域に,[1]人口の急増,[2]地域社会に無関心な新住民の増大による防犯面の弱体化,[3]都市化に伴う繁華街・深夜営業店出現による夜間外出者の増加等の状況が現れたことが影響しているものと思われる。
 また,来日外国人による強盗事犯の分布と増加傾向を見ると,東京に集中し,その増加傾向は著しいが,来日外国人の国籍によっては,東海地方と北関東等東京以外の特定の地域への拡散傾向も認められるなど新たな動向も現れている。