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 平成15年版 犯罪白書 第5編/第7章/第1節/3 

3 暴力団と来日外国人による強盗の増加

 暴力団の準構成員,来日外国人による強盗が増加している。前者は,暴力団対策法の規制を免れるため潜在化しつつある暴力団の末端の準構成員が,恐喝に代わる金品獲得手段として強盗を行っているものと思われ,少年の場合同様に,手っ取り早く金品を入手する方法として安直に強盗が選択されるという傾向がうかがわれる。暴力団は少年と異なり,組織性があり,けん銃等危険性の高い武器を保持している場合もあるだけに,この傾向は憂慮されるところである。
 また,来日外国人による強盗は集団化が進んでおり,大半が夜間の屋内侵入強盗で,店舗をねらった被害金額の高い大型犯罪で被害者も多いなどの特殊性がある。また,日本人との共犯事件も少なくない上,日本人が被害者となる割合も増加しつつあり注意を要する。
 来日外国人による強盗の増加の背景には,3つの側面があると考えられる。第1は,我が国の国際化により,在留資格を有して定住し稼働する来日外国人が増加したことを背景とし,近時の不況下で就業困難化や経済的困窮等から強盗に至る者の増加である。第2は,国際化の負の側面として,不法入国者等不正な手段で入国する外国人や在留資格を失ってもなおかつ違法に残留を続けて稼働する来日外国人が依然として多数に上り,これらの外国人が敢行する第1と同様の強盗の増加である。第3は,当初より強窃盗目的で来日して犯罪を繰り返す職業的な強窃盗団の登場である。この第2及び第3,特に第3における職業的な強窃盗団は,我が国の暴力団関係者と連携して大型の連続強盗事件を引き起こし,社会に対する新たな脅威を与えており,今後の動向には十分な警戒が必要である。