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 平成15年版 犯罪白書 第5編/第7章 

第7章 まとめ

 最も暗数の少ないとされる犯罪は,殺人と強盗という凶悪犯罪である。特に,強盗については,近年急激な増加傾向が見られるとともに,質的な面においても従来とは異なる変化が現れている。本特集では,こうした凶悪犯罪の実態や背景等を可能な限り明らかにし,犯罪の防止と犯罪者の処遇のためにより効果的な対策を講ずる上で役立てるねらいの下に,多角的な観点から分析を行った。個々の凶悪犯罪の発生は個別の事情に拠るところが大きいものがあるが,それを全体で概観・分析すると,個々の凶悪犯罪も社会的・時代的な背景事情と無関係ではなく,様々な形でそれらの事情が色濃く投影されていることが分かる。以下,これまでの分析から得られた結果を基に,変貌する凶悪犯罪の特質のうち特記すべきものとその背景・要因について指摘し,最後に対策と課題に触れて本特集のまとめとしたい。