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 平成15年版 犯罪白書 第5編/第7章/第1節 

第1節 変貌する凶悪犯罪の特質と背景・要因

 最近における凶悪犯罪の動向と特質を,「若年犯罪者の変貌」,「暴力団と外国人犯罪者の変貌」,「社会的背景とその影響」,「犯罪発生の地域的変動」,「女性・未成年者・高齢者の被害の増加」という5つのキーワードにまとめてこれらの視点から全般的に分析した上,急増する強盗少年に焦点を当てて更に詳しくその実態と問題性を分析し,さらに,重大な凶悪事犯について,具体例を踏まえつつその実態を分析するとともに,凶悪犯罪者の刑事処分と処遇の実情等を概観した。これらの分析の詳細は既述のとおりであるが,ここでは,特に,凶悪犯罪の中で取り分け大きな変動があることが判明した強盗犯罪の実相に関し,変動の特質を指摘したい。その特質は,[1]少年を中心とした路上強盗の増加,[2]成人を中心とした屋内(上がり込み)強盗の増加,[3]暴力団と来日外国人による強盗の増加,[4]大都市圏への集中と拡散への兆候,[5]被害の増加と深刻化の5点に集約される。以下それぞれの点につき,その背景・要因も併せて順次指摘することとする。