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1 仮出獄 殺人・強盗で刑務所に入所した有期懲役受刑者のうち仮出獄を許可された者の刑の執行率を見たのが,5―6―3―1図である。最近20年間を見ると,殺人では,昭和61年から平成14年にかけて,執行率7割未満の構成比は42.2%から7.9%と34.3ポイント低下する一方で,執行率8割以上が33.4%から57.8%と24.4ポイント上昇するなど,全般的に執行率がより高くなる傾向が認められる。一方,強盗では,昭和61年から平成14年にかけて,執行率7割未満の構成比は37.1%から19.5%と17.6ポイント低下している。最近10年間の執行率は高くなっているものの,仮出獄を許可された者のうち,6割前後の者が執行率8割未満で仮出獄となっているという傾向はほぼ変わっていない。
5―6―3―2図は,前記仮出獄を許可された者の刑の執行率を刑期別(刑期5年超と5年以内に分類)に見たものである。 まず,殺人の刑期5年を超える者について見ると,昭和61年から平成14年にかけて執行率7割未満の構成比は33.5%から3.4%と30.1ポイント低下する一方,執行率8割以上の構成比が39.0%から68.7%と29.7ポイント上昇し,執行率が上昇する傾向が認められる。また,刑期5年以内の場合には,執行率8割以上の構成比には特に上昇傾向は認められないものの,執行率7割未満に注目すると,その構成比は昭和61年から平成14年にかけて50.2%から15.0%まで35.2ポイント低下しており,全体としての執行率は上昇しているものといえる。また,刑期5年を超える者の方が5年以内の者よりも,刑の執行率が高くなる傾向が見られる。 次に,強盗の刑期5年を超える者について見ると,昭和61年から平成14年にかけて執行率7割未満の構成比は26.7%から17.3%と9.4ポイント低下するなど,全体として執行率はやや高くなっていることがうかがわれるが,執行率8割未満の者について見ると,最近10年間における構成比は4割前後で推移しており,この点については大きな変動は見られない。また,刑期5年以内の場合には,執行率8割以上の構成比には特に上昇傾向は認められないものの,執行率7割未満に注目すると,その構成比は昭和61年から平成14年にかけて41.6%から20.1%と21.5ポイント低下しており,全体として執行率は上昇しているものといえる。また,刑期5年を超える者の方が5年以内の者よりも刑の執行率が高くなる傾向が見られることは,殺人と同様である。なお,平成13年からは,執行率8割未満で仮出獄が許可される者が増加している。 5―6―3―1図 仮出獄を許可された者の刑の執行率の推移 5―6―3―2図 刑の刑期区分別に見た仮出獄を許可された者の刑の執行率の推移 |