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最近における強盗事件を犯す少年(以下,本章において「強盗事犯少年」という。)の急増の概要と大まかな社会的背景については,第3章第2節で触れたところであるが,さらに,少年の犯行に至る心理等主観的側面や家庭及び友人とのかかわりなど身近な環境等についてより深い観点から分析を行い,強盗事犯少年の実態に迫り,その問題性を明らかにするため,全国の少年鑑別所における特別調査を実施した。
調査対象は,[1]平成14年1月1日以降全国の少年鑑別所に入所し,同年中に退所した強盗事犯に係る男子少年のうち鑑別終了者(以下,本章において「14年対象者」という。),[2]平成5年中に全国の少年鑑別所に入所した強盗事犯に係る男子少年のうち鑑別終了者(以下,本章において「5年対象者」という。)とし,当該少年鑑別所にある資料を基に調査を行った。分析対象者は,14年対象者が947人,5年対象者が327人であった。 本章においては,この特別調査の結果を基に,[1]少年による強盗事犯の共犯率が高いことにかんがみ,「共犯・事件のエスカレート化」について,また,[2]少年が強盗に及ぶ理由を明らかにするために,「動機・手口の着想等」について,[3]強盗事犯少年を取り巻く家庭・社会との関係という視点から「環境とのかかわり等」について,そして,[4]資質鑑別の結果明らかにされた「資質の特徴」について,それぞれ14年対象者について分析し,特に,強盗・手口の着想等については,近年の強盗事犯増加の一端を解明するために5年対象者と14年対象者との比較検討を行い,最近の強盗事犯少年の実態とその問題性を明らかにすることとする。 |