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 平成15年版 犯罪白書 第5編/第3章/第6節/5 

5 高齢者の世帯別被害動向

 自宅において被害に遭った高齢者(本項では65歳以上とする。)がいかなる世帯構成のときに被害に遭っているかを,それ以外の年齢層との対比で見たのが5―3―6―24図である。
 殺人について見ると,64歳以下の世帯では,独居ないしは夫婦のみ世帯とそれ以外の世帯(以下「同居世帯」という。)とでは同居世帯で被害に遭う方が多く,独居ないしは夫婦のみ世帯で被害に遭う率は,24.3〜32.0%でほぼ横ばいである。65歳以上の世帯では,独居ないしは夫婦のみ世帯での被害とともに同居世帯での被害も増加している。独居ないしは夫婦のみ世帯で被害に遭う率は,26.7〜46.5%である。既に第2章第2節2で見たとおり,殺人に関しては親族が被害者となることが多いという事情もあり,同居世帯であることは必ずしも殺人の減少にはつながらないことがうかがえる。
 強盗について見ると,64歳以下の世帯では,独居ないしは夫婦のみ世帯と同居世帯とで,被害件数でほぼ拮抗しており,独居ないしは夫婦のみ世帯で被害に遭う率はやや増加傾向にあり,40%から50数%へと上昇している。それに対して,65歳以上の世帯での被害は,平成10年から増加し,同居世帯では14年に9年の3.0倍に,独居ないしは夫婦のみ世帯では同時期に3.2倍に増加しており,独居ないし夫婦のみ世帯で被害に遭う率は横ばいながら61.8%〜75.5%程度と高い。高齢者は独居ないしは夫婦のみ世帯でより強盗の被害に遭う率が高いことがうかがえる。

5―3―6―24図 自宅における被害者の世帯構成別認知件数