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 平成15年版 犯罪白書 第5編/第3章/第5節/2 

2 少年強盗犯の地域的動向―成人との対比―

(1) 最近4年間の少年強盗犯の動向

 近年,少年強盗犯が激増しているが,5―3―5―4図は,平成11年から14年の4年間における強盗の平均検挙人員人口比(被疑者対象年齢層人口10万人当たりの平均検挙人員)を各都道府県別,成人・少年別,非侵入強盗・侵入強盗別に見たものである。
 成人について見ると,全国平均2.3,最高4.3,最低0.9と格差があり,東京が突出し,次いで大阪が続き,大都市を抱える都府県ないしその周辺が高い傾向にある。非侵入強盗と侵入強盗の分布を見ると,成人の場合には非侵入強盗ばかりでなく侵入強盗も相当多く,その中でも東京が多いのが目立つ。
 少年について見ると,全国平均18.3,最高36.8,最低1.4で格差は成人に比して大きい。成人と違い,大阪が突出し,次いで千葉・埼玉・東京・神奈川といった東京及びその周辺にも集中しており,成人とはやや分布状況を異にする。成人と異なり,侵入強盗はどの県でも少なく,ほとんどが路上強盗等の非侵入強盗であることから考えると,これは,夜間に営業している店舗・飲食店等が多く,通行人も多い大都市を有する地域,すなわち,関東では東京・神奈川・埼玉・千葉,関西では大阪に,少年も夜間徘徊しており,路上強盗を行う機会が多いことに一因があるのではないかと思われる。

5―3―5―4図 強盗 都道府県別手口別検挙人員人口比

(2) 20年間の少年強盗犯検挙人員増加率の地域的変動

 5―3―5―5図は,成人・少年の強盗に関して,「平成10年から14年の5年間の平均検挙人員」を「昭和53年から57年の5年間の平均検挙人員」を100とする指数で見たものである。
 成人については,全国平均170.2,最高370.6,最低53.4と格差があり,増加率の高い県を見ると,東京・大阪は比較的低く,むしろ,山梨・栃木・千葉・群馬・茨城・埼玉等東京周辺の県,和歌山・滋賀・奈良等大阪周辺の県に加えて,佐賀等の県が高くなっており,首都圏では検挙人員増加率におけるドーナツ化現象が生じ,都心から周辺部や地方への強盗の拡散も徐々に進みつつある。
 少年については,全般的に成人よりも検挙人員増加率の上昇が著しく,全国平均246.0,最高675.0,最低44.2と大きな格差が生じている。また,増加率の高い県を見ると,千葉・茨城・埼玉等東京周辺の県,奈良・滋賀・和歌山等大阪を中心とした大都市圏の府県はもとより,広島・岡山・宮城等地方の中核都市を抱えた県等,ベッドタウン地域を抱えて人口増加が激しい府県のほか,佐賀・島根等従来は比較的平穏であった県においても高い増加率を示している。

5―3―5―5図 強盗 都道府県別検挙人員の変化