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2 手口から見た少年凶悪犯の特徴―成人犯罪者との比較の観点から― (1) 少年強盗犯の手口の特徴 少年強盗犯の増加傾向が著しいことが明らかとなったが,その手口に成人に比して何らかの特徴はあるのだろうか。5―3―2―4図は,強盗少年が増加傾向を示し始めた平成3年以降の成人及び少年の強盗手口別検挙人員の推移を示したものである。これを見ると,少年強盗犯が成人と比較して手口において極めて特徴的な点,すなわち,成人の場合には侵入強盗と非侵入強盗の比率は4:6ないし5:5程度でかなり拮抗しているが,少年の場合には,1:9ないしはそれ以上の開きがあり,圧倒的に非侵入強盗が多く,それも路上強盗が大半を占めていることが分かる。
近年の強盗増加の主たる原因は,成人では路上強盗を始めとする非侵入強盗とともに店舗・居宅等への上がり込み(昼間又は夜間就寝前の侵入強盗)等を中心とする侵入強盗の増加であるのに対して,少年ではもっぱら非侵入強盗,それも路上強盗の増加であることが明らかである。ちなみに,平成3年と14年を比較すると,成人の強盗,侵入強盗(うち上がり込み強盗),非侵入強盗(うち路上強盗)は,それぞれ約2.6倍,2.5倍(3.9倍),2.7倍(2.6倍)に増加しており,少年について同様の手口を順に見ると,2.3倍,1.8倍(3.2倍),2.4倍(2.4倍)に増加している。 また,犯行時間帯別に見ると,夜間それも深夜時間帯(午後10時以降午前2時まで)の増加傾向が著しいことについては第2章第3節で既に述べたが,これと犯行手口において少年では路上強盗が大半を占めることとを併せ考えると,少年による夜間,特に深夜における路上強盗の増加が強盗全体の増加を押し上げる要因の一つになっているのではないかと思われる(詳しくは,第4章第2節参照)。 5―3―2―4図 強盗手口別検挙人員の推移 (2) 少年凶悪犯の集団化 5―3―2―5図は,昭和62年以降の殺人,強盗の成人・少年別共犯事件数,共犯率の推移を見たものである。
殺人では,少年が関与した事件は極めて少数であり,大半は成人が行ったものである上共犯事件も少ない。共犯率(2人以上が関与した事件数を全体の事件数で割った比率),4人以上の共犯率を見ると,事件数が少ないため年度によって変動が大きいものの,全体として少年の方が成人より共犯率が高く,やや上昇傾向にあるように思われる。 強盗では,平成14年における少年の検挙人員に占める割合は,38.2%であるが,検挙された事件単位で見ると,少年が関与した(成人との共犯も含む。)件数の割合は全体の28.4%にとどまり,かつ成人に比して単独犯事件が極めて少ない。強盗の共犯率は,成人が15.3〜26.5%で推移しているのに対して,少年は48.7〜77.8%で推移し,しかも昭和62年が52.0%であるのに対して平成14年は71.2%と19.2ポイントも共犯率が上昇している。さらに集団化の特徴が顕著に現れる4人以上共犯率について見ると,やはり,少年において昭和62年が15.5%であるのに対して平成14年は23.1%と上昇傾向がうかがわれる。 少年の強盗における共犯化・集団化傾向が被害者に対する加害行為に及ぼす影響を考えると,共犯者相互の集団心理から単独では考えられないような方向へ犯行をエスカレートさせ,被害者に当初予想した以上の重大な危害を加える危険性があり,このような共犯化・集団化傾向の先行きが危惧されるところである(少年強盗犯の共犯化と被害者の負傷程度の関係については,第4章第2節参照)。 5―3―2―5図 共犯形態別検挙件数及び共犯率の推移 |