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 平成14年版 犯罪白書 第5編/第2章/第3節/1 

第3節 犯行態様から見た動向

1 犯行場所の推移

 5-2-3-1図は,殺人及び暴力的9罪種のうち住居侵入を除いた8罪種について犯行場所の推移を見たものである。図の屋外比とは,駐車場(駐輪場を含む。),道路上又は広場(公園や空き地を含む。)が犯行場所に占める比率をいう。また,住宅比とは,犯行場所に占める住宅の比率をいう。ここにいう住宅とは,人が寝起きして生活する戸建や集合住宅(アパート,マンション,社宅等)などの居宅のことである。

5-2-3-1図 罪種別犯罪発生場所の推移

 住居侵入を除く暴力的9罪種及び殺人において,発生場所の推移を見ると,屋外比の上昇傾向が明らかであり,住宅比は,おおむね横ばいないし長期低下傾向にある。
 殺人を見ると,住宅比が横ばい,屋外比が長期的にわずかな上昇傾向を示しているだけで大きな変化は認められない。この傾向と前節の面識率とを併せて検討すると,殺人の大半は,面識者に対する住宅内での犯行であるといえる。
 強盗は,平成7年ころから,屋外比が横ばい傾向から上昇傾向に転じて,12年には50%に達しており,特に道路上での犯行すなわち路上強盗の増加が著しい。これに対して,住宅比は,昭和63年からほぼ一貫して低下し,平成13年には14%まで低下した。しかし,犯行場所を住宅とする強盗の認知件数は増加しており,中でも,上がり込み及び押入り強盗が急増した。住宅比の低下は,路上強盗や住宅以外の建物での強盗等がそれにも増して増加したことを背景としていると考えられる(本節4を参照)。
 恐喝は,強盗とほぼ同様の推移を示しているが,平成13年には屋外比が70%近くに達しており,強盗よりも屋外で敢行されやすい特色を有しているといえる。
 傷害と暴行は,ほぼ同様の推移を示しており,平成13年の屋外比は傷害が50%台であり,暴行が60%近くに達している。また,犯行場所を住宅とする認知件数は12,13年において増加している。脅迫では,住宅比が高く屋外比はその約半分にすぎない。
 強姦と強制わいせつを見ると,ここ数年,ともに屋外比が上昇しており,平成13年において,強姦では30%近くに達し,強制わいせつでは50%を超えている。なお,犯行場所が新幹線を除く列車内及びバス内とする強制わいせつは,3年が160件,8年が312件,13年が550件と増加傾向にある。
 器物損壊では,屋外比は,平成2年以降49%ないし53%で推移し,住宅比は,昭和62年からおおむね20%前後で推移している。犯行場所を屋外又は住居とする事犯が約70%を占めており,残りが飲食店,デパート・スーパー,学校などにおける事犯である。